一人前の脊椎外科医を目指して

医師12年目ぐらいの整形外科医が、一人前の整形外科医・脊椎外科医を目指すブログです。研究留学・論文・資産形成・備忘録などを載せていきたいと思います。 現在、米国spine centerへの臨床留学から帰国後、現在は某地方都市で整形外科医として勤務しています。

タグ:脊椎外科

いよいよ暦の上では9月になり、夏が終わりましたが、まだまだ残暑ですね。


今回は、脊椎外科医 (あえて整形外科ではなく)としてキャリアを積む上で、

どういった留学を目指すべきなのか

について考えたいと思います。




「整形外科医」ではなく、あえて

「脊椎外科医」

としたのには理由があります。



それは、脊椎外科は多様な種類の手術があり、
かつその診断や治療のタイミングが整形外科のその他の領域以上に
重要な分野だと考えているからです。


つまり、脊椎外科は整形外科の他の分野以上に

臨床のウェイトがかなり大きく、
特に手術について勉強することが極めて重要である

と私は思っています。



そういった点から脊椎外科医の留学を考えた場合、
個人の印象として



臨床に直結した留学



を行う必要がある、と結論づけました。






留学といえば、 一般的には
基礎研究」留学のことを指すと思います。

つまり、大学院などでの基礎研究の延長(いわゆるポスドク)
として留学する、という方法です。



これだと


1. 大学の研究室のコネを利用しやすい

2. 留学先からの給料も得やすい

3. 日本人であっても その能力を正当に評価してもらいやすい



などの利点がある思います。


私も大学院で3年半の間、
生体材料に関する基礎研究を行ってきましたが、

自分が脊椎外科を志すのでなければ 
基礎研究を海外でやってみたい

と思います。



しかし、上記の脊椎外科の特徴を考えると、

貴重な留学の時間を脊椎分野から完全に外れた内容に充てるのは得策ではない

と個人的に考えています。 


これは、今私自身が大学院に在学して、
臨床から離れて少し焦っていることが原因の1つです。


この数年で脊椎外科の手術は変遷を遂げており、
特にOLIF, XLIFなどの側方アプローチでの固定術などは一気に広まっています。


そういったものを目の当たりにして、
技術や知識のアップデートを行う必要性に迫られている
という点です。


さらに今後はロボット支援手術や頚椎人工椎間板なども
欧米から導入される可能性もあり(既に導入されているものもあり)、
間違いなく日々進化していきます。


つまり、留学するのであれば



脊椎外科を十分に学べる、最先端のところに行くべき



と思います (あくまで個人の意見です)。



そして、私個人が思う、臨床分野での留学先を決めるポイントは、



1. 世界的に有名な先生 (特に自分のサブスペシャリティーにしようとしている分野の先生) がいる

2. 前任でおられた先生 (日本人) がしっかり業績 (論文) を残している



です。



なお、私自身は来年4月からアメリカのとある施設での留学を予定していますが、
上記のポイントを満たしていましたので、
それを決め手に、留学の申込みを決意しました。







まとめ

脊椎外科医を目指す上での留学についてまとめました。

脊椎外科医なら、やはり臨床を重視すべきだと思いますし、
臨床に直結した留学を行うべきのではないかと思います。


今回は少しマニアックな内容でしたが、お読み頂きありがとうございました。
 
 

今回は、脊椎外科を専攻すると決めてまだ間もない私が、
勉強しておすすめだった書籍(参考書)を紹介します。

若い先生方は、ぜひ参考にしてみてください!
では、早速行きましょう。







1.  脊椎脊髄病学

脊椎外科の分野で第一線でご活躍されている、
大阪労災病院の岩崎先生が書かれた本です。

脊椎疾患の診断法、検査法から治療法に至るまで、
多くの文献を参照されながら非常にわかりやすくまとめられている本で、
これから脊椎疾患について勉強される先生方は必読の書だと思います。

ちなみに私は卒後3年目の時に第1版を購入して、
半年ぐらいかけて読破したのですが、
2年前に第2版が発売されており、
そちらも購入して知識のアップデートに努めました。

何度見ても気付きも多く、またその文献に当たることもできますので、
非常にお薦めです。

また、参考書として調べる際に使うことも可能だと思います。



脊椎脊髄病学 第2版
岩崎 幹季
金原出版
2016-09-28

 



2. 整形外科医のための神経学図説

脊椎外科分野では、神経高位を理解することが
当然ながら非常に重要になります。

どの筋力・どの知覚・どの反射が どの高位を調べているのか、
これが頭に入っていないと、その患者さんの痛み・しびれの原因を理解することは困難だと思います。

その障害レベルをわかりやすく、かつ体系的に理解するのにこの本はもってこいです。

もともとはHoppenfeldの原著があるのですが、
日本語訳が充実しており、必読だと思います。

私はこれを読みつつ、絵を書きながら障害レベルを覚えていきました。





 




3. 脊椎手術解剖アトラス

福島県立医科大学の菊池先生が書かれた本です。
菊池先生が解剖学で集められた知識・アトラスを余すことなく書かれており、
その美しさと分かりやすさに読んでいてむしろ感動すら覚えます。笑

手術を行う上で、当然ながら解剖を正確に熟知していることは必須だと思います。
ただ、意外と脊椎の解剖アトラスを詳細に記載してある本は、上肢や下肢と比べると多くありません。

特に手術アプローチ:前方、側方は、これからの脊椎手術では多くなると思いますし、
他臓器との位置関係や解剖を知っておくことが必要です。

その需要にもこの書籍は応えており、解剖が大好きな私は、
この本を眺めているだけで時間が過ぎてしまいます。笑

ちなみに、脊椎のキャダバートレーニングの際にもこの本が大活躍でした!



脊椎手術解剖アトラス
菊地 臣一
医学書院
2017-05-10
 

 



4. 脊椎脊髄の手術

整形外科・脊椎外科といえば、やはり手術ですので、
その手術用の参考書です。

脊椎脊髄ジャーナル」雑誌で連載されている、
「イラストレイテッド・サージェリー」をまとめられた本になります。

この本の特徴は、
とにかく絵がキレイ!!!!!
これに尽きます。笑

また、展開以外にも手術体位・術後管理・後療法などについても言及されており、
私達の知りたいところに手が届くような本になっています。

それに、術式の記載も多岐に渡っているので、
それもすべて込みで24,000円であれば (もちろん高価ではありますが)
その価値は十二分にあると思います。






 

5. Critical thinking 脊椎外科

こちらも世界的に第一線でご活躍されている
三井記念病院の星地亜都司先生がご執筆された本です。

日常診療での疑問や、落とし穴 (神経内科疾患との鑑別など)について、
わかりやすく、面白く書いておられていて、とても勉強になる本です。
上に挙げた本と比べると、参考書と言うよりも、
どちらかと言えば読み物で、面白くて気がつけば読み終わっているような本です。



Critical thinking脊椎外科
星地 亜都司
三輪書店
2008-03-01





6. Rothman-Simeone and Herkowitz's The Spine

最後は英文の参考書を挙げておきます。
Spineの参考書で、おそらく最も世界的に有名な参考書が、
このRothman-Simeone The Spineだと思います。
診断、治療からバイオメカニクスなどの基礎領域まで、
とにかく詳細に脊椎分野について網羅してある本で、
ボリュームもありますが、読んでいて飽きません。

さすがに通読は私もできていませんが、
何か問題点に当たった際にはこの本から調べています。

また、ExpertConsultを経由して
ネットから電子書籍として読むことも可能ですので、
(スマートフォンのアプリからも読めます)

手術動画などもネットから閲覧することが可能で、
常に持ち運びをする必要もなく便利です。

ちなみに、リンク先のThe Spineは第7版で、
昨年出版されたものでして、私が持っているのは第6版ですので、
updateするか迷っております。値段は張りますが、その価値は十分にある本です。




 


 

以上になります。
この他にも、また面白い本・勉強になった本があれば
適宜記事にしたいと思います。

よろしくおねがいします。
 


 

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