一人前の脊椎外科医を目指して

医師12年目ぐらいの整形外科医が、一人前の整形外科医・脊椎外科医を目指すブログです。研究留学・論文・資産形成・備忘録などを載せていきたいと思います。 現在、米国spine centerへの臨床留学から帰国後、現在は某地方都市で整形外科医として勤務しています。

2021年09月

COVID-19の影響により、これまでface-to-faceで行われていた学会や研究会が

軒並みオンライン化されています。日整会 (JOA)や日本脊椎脊髄病学会 (JSR)は

もちろん、企業がスポンサーとなって行われている手術のセミナーなども多くは

オンラインで視聴することができるようになりました。


直接講演者の先生と話を交えることができない、ということは残念なことも多いのですが、

オンラインならではのありがたい点もいくつかあります。

特に脊椎外科に関して考えてみると、メリットも大きいのではないかと思います。

今回は、そのメリットと、それを活かすための方策について考えてみます。

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1. 手術動画をじっくり見られる

オンラインでのセミナー (ウェビナー)の一番の良い点はこれじゃないかと思っています。

自分のPCを使用して、演者の先生方の手術動画を見ることができる。

学会などの大型スクリーンで見ると、わかりにくいところや気になるところがそのまま

スルーされていきますが、ウェビナーだと自分のPCですので明瞭に見えるし、

術者の細かい手さばきも観察できる。


また、過去のウェビナーを医療者用HPにアップロードしてくれている業者

(Depuy SynthesさんやMedtronicさんなど) も最近は増えてきているように思いますので、

そのサイトからは繰り返し動画を見て学ぶことができるのが本当に良いです。

私自身、これのサイトを空いた時間では何度も見て勉強しています。



2. 海外学会にもオンラインで(比較的安価に)参加できる

海外、特にUSAでは徐々にCOVID-19から解放されつつあり、オンラインも終焉になる

可能性もあるのではないかと思われることから、逆に今がオンラインで海外学会に

参加できるいいチャンスなのではないかと思います。


学会の魅力として、例えばフロリダやアリゾナに行ってめちゃくちゃ酒を飲んで楽しんで

独特な楽しい雰囲気で参加する、ことが出来ないのは非常に残念なのですが、、、

逆にオンラインで安価に参加できることはメリットだと思います。


通常だと$1000 (日本円で11万円ぐらい)近くするような学会でも、オンラインだと半額以下に

なることも多く、実際に昨年参加したCSRS (Cervical Spine Research Spciety)

そのような感じで参加できました。また、CSRSにはinstructional courseというものがあり、

on-demandで欧米・アジアの頚椎外科の専門家の講義やdiscussionに参加することができます。

(もちろんLIVEで参加可能ですが、時差もありますので昨年はon-demandで参加しました)
 




他にも多くの活用法があるかと思います。

もし何かありましたら、コメントなどいただければ嬉しいです。よろしくおねがいます。

 

最近では、海外留学 (臨床留学・研究留学) を考えるドクターは少なくなっていると

聞いていますが、そこにCOVID-19の影響も相まってさらにその数は少ないと思います。

今までの安定した生活を崩し、海外で生活を送るということは本当に労力が必要で、

当然ながら金銭的にも苦しくなることが予想され、そこまで苦労して行うべきことなのか

と考えるのも無理はありません。


今回は、実際に1年強の間、家族と渡米して臨床研究のために留学を行った私から見た

海外生活で得られたものについて考えてみたいと思います。

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1. 海外生活を送ることで失うもの

「失う」というと大げさかもしれませんが、実際には金銭的なことが大きいでしょう。

ビザの申請から始まり、渡航費住居費、家族で移り住んだ場合には子供の養育費など

日本で安定して(医師として)生活を送ることから考えると、

もしかすると1000万から2000万円ほどの差異があるかもしれません。 

さらに、もし日本に帰ってくることを最初から想定するのであれば、医局人事などでの

いわゆる「奉公」などで、帰国後はどこに赴任するかわからず、これまで安定していた

職場の変更も大きなストレスの要因になりうります。

子どもが就学時の場合、教育面の問題 (日本語の遅れや転校の問題)もあります。

こうして考えると、失うものは確かに大きく、留学を自己投資と考えた場合、

そこまでの自己投資が本当に必要なのかを考えることは必須です。


では、そこまでの犠牲を払って海外生活を送ることで得られるものとは何なのでしょうか?


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2.  海外生活を経て得られたもの

予め述べておきますが、ここからは、大いに個人的な意見が入ります。。。

実際の経験から、得られたものを大きく2つに分けて考えたいと思います。


A. 生き抜く力

こう書くとかなり大げさかもしれないですが、ある意味サバイバルのような要因です。

現地に生活してからの生活環境のセッティング、家賃交渉や銀行口座の開設、子どもの

学校を決めたりなど、生き抜くために止まっていられません。

自分で局面を打開しなければならず、ましてや日本語以外の言語で行わねばなりません。

確かにストレスではありますが、今思うと、あれだけあの時必死だったということで、

日本に帰国してからは、ちょっとやそっとでは凹まないメンタルを保てるようになりました。


ただ、当然ですが1人で生活しているわけではありません。

家族・友人や見ず知らずの人まで、その過程で多くの人の助けを借りながら乗り越えて

いけました。そういった人々への感謝の気持ちは今でも持ち続けています。


B. コミュニケーション能力 

今風に言うと、コミュ力というやつでしょうか?

現地で多くの人 (特に日本人以外)と接していると、

何も話さないことは、何も考えていない

というような感覚に出会うことがありました。

話を自分からしていかないとアピールにつながらない、そして職場ではボスにどんどん

アピールをすることで仕事を得ることにつながることになり、

日本での生活とは大きくスタンスが異なるように感じました。

そういった環境に身を置くことで、自分の中での後悔が少なくなったように感じています。



3. 最後に

実は医学的なこと (向こうで学んできたことや研究成果について)は、

もちろん向こうでしか得られなかったことはありますが、

こと脊椎分野について考えると、日本のレベルは非常に高いと感じていましたので、

海外じゃないとダメ!というものはほとんどないように感じました。


活かすも殺すも、自分次第だなと。 


自分にとっては、この留学には決して後悔はありませんし、

多くの犠牲を払ってでもできてよかったなと思っています。

ただ、留学を過去の思い出話に終わらせてしまうことはダメで、

自分の今後に活かすことが何よりも大事なことだと考えています。 

 

ブログの更新がかなり滞っておりました…誠に申し訳ありません。

これまでの記事では、留学について:特に留学準備期について書いておりましたが、

そちらに関してはまた書き綴って行きたいと思っています。

ぜひ温かい目で見守ってもらえれば嬉しいです。

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まずは、近況について報告致します。

米国からは、COVID-19の影響もあり2020年8月に帰国致しました。

本音はもっと留学先で研鑽を積みたかった、そして生き残りたかったのですが、

COVID-19による大きな変化、そして家族の安全を考えて帰国することにしました。


2020年9月中旬からは、某地方の小都市で勤務医として日々奮闘しています。

これまでは市中病院でも比較的マンパワーの多い病院で勤めていましたが、

現在の赴任先は病院全体で200床程度、整形外科医も5人以下の状況で

かつ100床近くを整形外科で占めていますので、本当に日々忙しくしています。

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そして、手術についても、指導医のいない状況で自分でやりきることが必須です。

これまでの自分の環境を考えると、指導医がいるところでぬるま湯に浸かっていた

と感じることもあり (大学院と留学とのブランクもかなりありました)、

勤務当初は苦労することが多かったですが、徐々に慣れてきたかなと思っています。


また海外で勤務する夢は諦めてはいませんが、今は力を肥やす時期だと前向きに

考えて、日々勉強・日々精進の気持ちを大切にして過ごしています。


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これからも、頻度はさほど多くはないかもしれませんが、シレッと更新していきたいと

思っておりますので、またよろしくお願いします〜。


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