ご無沙汰しています。更新がおろそかになってしまいました。



暫く前に体調を崩してしまい、以降もなかなかすぐれない日々が

続いています。ただ、少しずつ良い方向に向かいつつありますので、

無理のない程度にブログを書いていこうと思っています。


当ブログをまた今後ともよろしくおねがいしますm(__)m 





今回ですが、以前にツイッターの方で、私が


「 病院見学のコツ」


についてつぶやいたことがあり、それについて反響を頂いていた

ので、まとめてみたいと思います。

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私の経歴は、 以前の記事

大学院ってどうなの?(1)
大学院ってどうなの?(2)

の方で書いたこともありますが、大学院入学前までは

1〜2年スパンで病院を転々としていたこともあり、

その都度でどの病院に行くか、を検討する機会が多くありました。



私は自分の性格上、物事を比較・分析する事が好きで、

学生時代に研修医病院を見に行く時からも、部活の先輩の意見などを

参考にしつつ、その比較する点をずっと考えていました。



おそらく過去に 15〜20の病院見学をしてきましたが、その経験を

通じて、私が考えていたポイントを考えてみたいと思います。






1. アポ


もちろんですが、病院見学は病院への連絡から始まります。

早すぎると忘れますし、遅すぎるとその日時は難しい可能性もあります

ので、私は約1〜2ヶ月前にメールで連絡を取っていました。


連絡先は、病院の事務方だったり、診療科の部長だったりしますが、

相手先を問わず、

そのレスポンスが早い病院は、見学時の印象も良かった です。

 
これはビジネスでも、研究でもそうですが、何事も重要な事については

レスポンスが早くて困ることはないのではないかな、と思います。




2. 回診・カンファレンス


さて、病院のスケジュールの中でいつ見学するのが良いか、という話

ですが、私の意見は

回診やカンファレンスのある曜日に見学に行くほうが良いです。 

 
その理由は、回診やカンファレンスの時にこそ、

診療科の雰囲気がよく反映されるから です。


具体的には (特に医師の多い診療科では顕著な傾向が強いですが)


・雰囲気が冗長で, ダラダラしている 

・若手の医師が発表して、特に誰も質問しないまま終わる

・上級医師からの教育的な指導がほとんどない

・教授 (部長) 以外の先生が疲れて寝ている


などの雰囲気がないかどうか、はチェックしていました。

また、私は整形外科医なので、その診療科の特徴上、

病棟看護師さん 、 リハビリの先生 (OT, PT) 、 SWさん 

などとの他職種カンファがあることも大事な点だと思います。




3. 手術


整形外科といえば 手術!なので、手術見学もいいとは思います。


しかし、見学日が1日しかない場合や、純粋な手術見学を目的とした

見学ではない場合、私は手術見学は避けた方が良いと考えています。


それは、 限られた時間を手術室で使ってしまうと、

診療科の雰囲気がつかめなくなってしまう からです。


はっきり言えば、手術室でどこで手術するかは、さほど差はないと思います。 

それよりも、私は、その診療科の若手医師が


どんな手術をしているか (その病院の特色)

どれぐらいの件数の手術をしているか

主治医執刀制なのか、あるいは上級医が執刀するのか


を重点的にチェックしていました。


そして、これをチェックするために、

可能であれば、その科の手術台帳を見せてもらって、

見学前1ヶ月の状況をチェックするようにしていました。


1ヶ月分を見ると、だいたいの様子が分かりますし、十分と思います。




4. 雰囲気


これが最も重要な点で、かつ最も評価するのが難しい点だと思います。


病院見学時に案内して頂ける先生は、その日偶然予定がフリーで

ハズレくじをひかされた先生の事もありますが、

見学者の多い病院だと案内に慣れておられる先生もいますので、

基本的にその病院や診療科の悪いところを話すことはありません。


ですので、医局や上記の回診・カンファレンスの際に察知する力が大事になります。


具体的には

・帰る時間が遅く、医局で疲れ果てている先生がいる

・逆にヒマで医局でダラダラしている先生が多い 


などの点は、その雰囲気をみる一端になるかなと思い、チェックしていました。 




5.  学会発表・論文作成実績 (データベース)


これは意外な点かも知れませんが、

データベースのしっかりしている診療科は診療・治療レベルが高い

と思います。


この事は、私も病院見学を通じて、何となく感じていた事ですが、

同様の事を兵庫医科大学の森本剛先生が下記リンクの御著書でも書かれており、

やっぱりそうだなと後日になって確信したことです。




 

では、なぜそれが言えるかと言うと、

データベースは、将来的に学会発表や論文作成に活かすために管理する事が多いです。



例えば、ある疾患に対する手術成績をデータベースを用いて発表する時、

主治医によってその方針やフォローアップのタイミングがバラバラだと

せっかく症例を集めても、発表する意味がなくなってしまいます。



データベースをきっちり管理する、という事は、つまり

その診療科内での診療レベルの標準化、という事になり、それが

学会や論文での発表に繋がると思います。


そして標準化される、という事は、 エビデンスに基づいた治療に繋がる

事が大半ですので、それが診療技術の引き上げに繋がるという事になります。



私の場合、その病院で学会や論文の発表が出来るかどうか、を1つのポイントと

考えていましたので、そこまで深く考えず、

「とりあえずデータベースがある所に行くほうが、症例収集も楽だな」

ぐらいにしか思っていませんでしたが、

後付けで考えると こんなメリットもあるなと感じた次第です。




6. 飲み会


多くの病院では、仕事終了後、せっかくなので飲みに行こうよと

誘って頂ける事が (個人的には)多かったです。



もちろん有り難く参加させてもらっていましたが、この場こそ、

診療科の雰囲気が一番良くわかる場所です。


(特に若手の先生が) どれだけ休みがあり、当直やオンコールの頻度・

緊急手術の忙しさ・麻酔科との関係性・上司との雰囲気


など、挙げればキリがありませんが、これらを探るチャンスです。


これはやりすぎかも知れませんが、私は自ら先生にお酌をして、

いろんな話を引き出すように努力していました。笑




7. その他

私はそこまでチェック出来ていませんでしたが、

産休や育休の取得状況

もキッチリ調べておくべきだと、今になると思います。


例えば、独身でその病院に赴任する事になったとしても、

数年後には結婚・出産などのイベントがないとも限りません。



また、 これは大学医局の見学の際に極めて重要な事ですが、


自大学出身の先生と他大学出身の先生が

どれぐらいの業績・アカデミックポジションを得ているか 


これもチェックしておくべき事柄だと思います。


その場合、特に他大学出身の先生に伺うことが大事で、

(自大学出身の先生は、基本的に差別はない、と言う事が多い)

私はこの件も飲み会で探るようにしていました。 






まとめ


まだ体調はすぐれないですが、思い切って長文を書きました。笑


他の先生と比べると、自分なりには結構色々と見てきたつもりですので、

このポイントを是非若い先生方にもご参考にしてもらえれば嬉しいです。



ご意見等ありましたら、コメント頂ければと思います。

宜しくお願いします。