一人前の脊椎外科医を目指して

医師12年目ぐらいの整形外科医が、一人前の整形外科医・脊椎外科医を目指すブログです。研究留学・論文・資産形成・備忘録などを載せていきたいと思います。 現在、米国spine centerへの臨床留学から帰国後、現在は某地方都市で整形外科医として勤務しています。

2018年08月

前回記事の続きで、


「大学院での研究と育児は両立できるか?!」


について考えていきたいと思います。

前回の記事を簡単にまとめますと、
大学院1年生の秋に子どもを授かり、
妻の体調が変化するようになり、

少しでも妻の家事の負担を減らす

ことを考えるようになりました。 そこで私の考えたことは、



 1. 研究室でしか出来ないことは研究室で、研究室以外でできることは研究室以外で!

 2. 研究室ですることは、事前に計画を立てた上で、集中して行う!

 3. 家に帰れば頭を切り替えて、家事に集中

 4. 時間が足りないなら、早朝の時間を活かすべし!

 5. 研究の予定は、できるだけ分散、週1-2日は休養日 (家族サービス日) を作る!




ということでした。今回は、この内容を1つずつ見ていきたいと思います。







1. 研究室でしか出来ないことは研究室で、研究室以外でできることは研究室以外で!


家事 (育児) を行う時間を増やすということは、つまり
研究室に滞在する時間を減らすということになります。

さらに具体的に言いますと、研究室では、
研究室以外で出来ることはしない
ということを考えました。


例えば、研究室でしか出来ないこととは、私の実験で考えると


(基礎研究)
・細胞培養、細胞実験
・動物実験、組織標本作成 、標本観察

(臨床研究)
・ 患者さんのデータ計測 (匿名化処理も含む)


となります。その他の作業、例えば


・ 生データ処理、統計学的解析
・ 論文収集、論文整理、論文作成


この辺りは、研究室に居なくても出来る事になります。

研究室に滞在する時間を減らすには、
極端に言うと、前者の作業しかしない!
ということになります。 



2. 研究室ですることは、事前に計画を立てた上で、集中して行う!

 
1 を踏まえて、研究室でないと出来ない作業を見ていきましたが、
実際に頭で考えると、私の場合、
大学に着いていざやるぞ!となると、何か抜けていたり、
やらなくて良いことを無意識にやってしまったりします。笑 


特に基礎研究では、とにかくすることが多いので、
私は 毎回ノートに書き出して、何を大学院でやるのか、
そして、どこまで大学院で研究を進めるのか、
を計画
しています (実験ノートとは別にノートを作成しています)。


そして、私の経験上、計画は週単位で立てるのが
良いような気がします (これは 5 にもつながるところです)。


滞在時間を減らすため、この計画の立案も
自宅や電車内などの研究室以外 で行うようにしています。


もう一点、計画は無理に詰めすぎないことが大事だと思います。


実際に研究を始めると、慣れてきても
結構手こずることが多いと思います。

僕は大学院4年目ですが、未だに
RT-PCRでマイクロピペットの量を間違えそうになったり、
どこまで入れたかわからなくなったりして失敗することもありますので、
(何回PCRやってきてん、という話ですが。汗)、、

余裕を持った計画を立てることが肝要です。


※ ちなみに私は (バイトなどのdutyがなければ) 18時に帰宅する
ことを目標にして、そこから逆算して計画を立てています。
4 とも関連しますが、どうしても研究が多くなるときは、
朝にずらして5時や6時から研究室に行くことも時々あります。
極力後ろ(夜間)には計画を伸ばさないようにしています。




3. 家に帰れば頭を切り替えて、家事に集中! 

 
計画通りに終われば、気持ちよく家に帰れますが、
失敗したり上手くいかないと、当たり前ですが、
あまり気分良くは帰れません。

仕事でもそうですが、これを家に持ち帰ることは厳禁!です。


何のために家に早く帰るのか?

もちろんその理由は、妻のためであり子どものため、
そしてそれが自分のためにも繋がるからだと言えます。


家に帰ったら、切り替えて家事・育児に集中する。
5 にも繋がりますが、これが最も重要なことだと思います。




4. 時間が足りないなら、早朝の時間を活かすべし!


1.でも書きましたが、研究室では限られたことしかしませんので、
論文の執筆やデータ解析などは他の場所ですることになります。

私が今までの大学院生活で、それらの作業をしてきたのは、


・ 外勤先 (救急待機時間や寝当直での空き時間)
・ 図書館
・ 自宅


主にこれらの場所でしていました。
特に、自宅で行うのは、3.とある意味矛盾しているようにも感じますが、
「早朝勉強」で 家族が寝ている時間を狙って行っていました。

早朝は頭が冴えていて、集中力も高まっていますので、
論文の執筆ペースは夜間にすることと比べると早くなったことを私自身 実感しています。


この早朝勉強の詳しい方法はこちらの記事に 書いていますので、
是非ご参考にしてみて下さい!




5. 研究の予定は、できるだけ分散、週1-2日は休養日 (家族サービス日) を作る!


研究は、一回始めると一気にやりたくなるもの。
つい何日かで詰め込みたくなることが多いです。

どうしても連日しないといけないことがあれば話は別なのですが、
その方法はあまりオススメしません。


例えば週に1-2日は 培地交換のみ とか、標本観察 数スライドのみ、
とかにして1-2時間で早々に終わらせる、という風に
仕事を減らす日を作ったり、数日に分けて予定を立てたりすることで、

自分の疲れを溜め込みすぎない ことが大事だと思います。


私の場合、家族と買い物に行ったり外で食事をしたりすることは、
とても良いストレス解消になっています。

ストレスをきっちり解消しておかないと、
同じパフォーマンスを続けて保つことは難しいのではないでしょうか?


ちなみに私は実験の調整が可能な限り、
木曜日と日曜日を休養日にすることでストレス解消を図っています。
ただ、外勤の当直が入ると厄介で、計画をその都度変更していますが。。。


※ 「子どもの世話をすることで逆にストレスって溜まるよね??」
 って思われる方も多いと思うのですが、 (確かにストレスは溜まるのですが)
 研究のストレスと育児のストレスは種類が全く違うので、
 僕の場合は 育児が逆に良い息抜きになっています。
 この辺りも、切り替えという部分で大事なのかも知れません。




おわりに

私は全く要領の良いほうではありませんので、
この5つのポイントは、大学院で自分なりに日々試行錯誤を続ける中で、
何週もかけて見出してきたものです。

よくよく考えれば当たり前だなと思うことばかりなのですが、
このポイントが守れていないと、
今では研究のリズムも上手く回らないなと感じるようになっています。


この結果、大学院に滞在する時間はかなり減ったと思います
(もちろん研究の成果は残しているつもりですし、論文も執筆しています)。

その分家族との時間を増やす、
さらに育児との両立には成功しているんじゃないかな〜〜?!

と思っています。 




長々と書いてスミマセン、
ここまで読んでいただきましてありがとうございました!

大学院で現在研究されておられる先生がおられましたら、
是非ご参考にしてみて下さい!

また、他にアイデアやご意見等ありましたら、
気軽にtwitterやコメント欄等で教えて頂ければうれしいです。

よろしくおねがいします。
 

以前に、育児と大学院入学のタイミングについて書きましたが、
今回のテーマは、

大学院での研究と育児は両立できるか?! 

です。 



臨床医としての生活と比較すると、
大学院生活はまだ楽と言われます。

しかしながら、本業は研究ですし、
さらにはバイトにも行かなければなりません。

他学部でのいわゆる「大学院生」(修士、博士)と比べると、
医学部の大学院生は概して忙しいと思います。



大学院での研究は、もちろん研究の種類にも依りますが、

一朝一夕で終わるものではない
ですし、

本当に地道に一つ一つコツコツと積み重ねていかなければなりません。


また、結果によっては、すべてが水泡に帰すこともしばしばあり、

「自分は一体この◯日間何をしてきたんだ…」

と自問自答してしまうこともあります。。。


そのような状況ですので、研究室に行って研究を始めると、
あれもやらないと、これもやらないと…
と考え出してしまい、結果的に長時間 研究室に籠もってしまうことになります。

それだけじゃなく、長時間ということで、
集中力も途切れがちになり、ますます帰宅時間が遅くなってしまうことも…

特に、他に院生がいると、ついお喋りが進んでしまいます。
まさに悪循環。。。



実際に、大学院に入学してからしばらくは、
こんな感じの生活を送ってしまっていました。

これでは1日が24時間あっても全然足りないぐらいです。
育児なんて到底できない。。。



しかし、大学院1年生の秋に転機が訪れます。
嬉しいことに僕たち夫婦の子どもを授かったのです。
と同時に、妻につわりなどの体調変化が出てくるようになり、

少しでも妻の家事の負担を減らさないと

と実感するようになりました。

つまり、
研究室にいる時間を減らして、極力早く帰宅する、
ということです。

これは、子どもができてからの育児の時間、ということにも繋がります。






ここで僕が考えたことは、



 1. 研究室でしか出来ないことは研究室で、研究室以外でできることは研究室以外で!

 2. 研究室ですることは、事前に計画を立てた上で、集中して行う!

 3. 家に帰れば頭を切り替えて、家事に集中

 4. 時間が足りないなら、早朝の時間を活かすべし!

 5. 研究の予定は、できるだけ分散、週1-2日は休養日 (家族サービス日) を作る!



です。


この 5点について、次の記事で詳しく見ていきます!

次回記事をお楽しみに。
 

以前の記事に、脊椎に関しての参考書を紹介させていただきましたが、今回は


医学論文 (特に, 英語論文)の執筆


に関して 、私が特に勉強になった、
是非他の先生にもオススメしたい参考書をご紹介したいと思います!

ちなみに、僕の英語論文作成歴 (first authorとして) ですが、
医師9年目で2本の英語論文があり、3本の英語論文を現在投稿中です。

その僕が勉強になった参考書を挙げていきます。







1. 臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意


循環器内科がご専門の 原 正彦 先生が執筆された参考書です。
この参考書を特にオススメしたい理由は,


・ 研究したい!論文書きたい!とモチベーションを高めてくれる 
・ クリニカルクエスチョンから論文作成・投稿まで, 若手医師でもそれほどハードルが高くない内容で, 出来そうな気にさせてくれる



が大きな理由です。

世間には多くの医学英語論文の参考書が発売されていて、

私もそれなりに多くの本を読んできましたが、

臨床研究をやりたい!

って思わせてくれる本は、この本が1番だったと思います。


それは、著者の原先生が、
他の本の著者と比べると若手の先生 (医学部平成18年卒とのことです)
であるということ(私よりは医師として先輩ですので恐れ多い表現でスミマセン) と、


比較的若手の先生にも関わらず
業績がスゴイ、
論文を書きまくっている、
そして臨床研究学会などの立ち上げにも参画しておられる

などの点もあるのではないかな、と思いました。


ただし、内容としては入門書といった感じなので、
何本か既に書かれている先生には少々物足りないと感じそうです。








2. 必ずアクセプトされる医学英語論文 完全攻略50の鉄則


東京大学臨床疫学の康永秀生先生の著書になります。
クリニカルクエスチョンの立ち上げから
英語論文の書く際の注意点や心構え、
さらには英語論文の読み方まで言及されている、
まさに指南書です。

この本のオススメしたい理由は


・ 実際の英語構文の書き方まで言及していて、すぐに実践できる内容が多い (平易な英語構文の推奨)。
・ 各パートの鉄則、投稿に関わる情報について、詳細に言及している。
・ Revise後のeditorとのやり取りなどの解説が詳しい。


という点です。
とにかく具体的に書いてある、というところがこの本のスゴイところで、
この著書を横に置いて論文を書くのが良いと思いますし、
自分もそのようにして論文を書きました。

論文は simple is best なんだと気付かされる名著です。









3. 時間がなくても、お金がなくても、英語が苦手でも、論文を書く技術


この著書のコンセプトは、
いかにコスパ良く英語論文を仕上げるか
というところで、そのための方法が惜しみなく記載されています。

Google翻訳の上手な活用方法から、
研究テーマの設定のためのビジネス思考など、
単なる英語論文の粋を超えて、
日常診療などにも役立つ知識が豊富に書かれています。

特にこの本が良かったのは、

・ 著者の実践的な経験談をベースにして書かれてある
・ 分量を抑えていることで、すぐに通読することができる

点でしょうか。上記2冊の本もそうなのですが、
こういった how to 本は分量の多いものが多いのですが、
これらは重要な部分のエッセンスを記載してあるので、
忙しい先生方でもすぐに通読できてしまうところがいいところです!








論文の執筆には統計学的な知識は必須になりますし、
統計学についての勉強も必要にはなりますが、
今回は医学統計に関する参考書は除外して、
「英語論文執筆」に関しての有用な参考書を挙げてみました。


ご意見・ご感想などあれば記入してもらえれば嬉しいです。
よろしくおねがいします。 



 

今回は、少し変わった角度から大学院生活について考えてみようと思います。

それは、

「育児」と「大学院入学」のタイミング

について、です。



以前の記事にも書きましたが、大学院というと、
医局の指示でバイトをしながら、大学で研究もして過ごす
というのが一般的です。


もちろん、医局によってその制約は異なりますが、
(どれだけバイト・外勤・大学病院での業務を行わなければいけないか)
勤務医で働いていることと比べると、どちらかと言えば
自分の時間は確保しやすいのではないか、と思います。


僕個人の経験からまず言いますと、
大学院に入った当時は子どもはいませんでしたが、
大学院2年目に嬉しいことに長男を授かり、
今は2歳のやんちゃな男子に成長しています。

つまり、初めての育児を大学院に入ってから経験している訳ですが、
まず思うことは、


大学院の間に育児を経験できて良かった!


ということです。 


どういうことかと言いますと、

育児は言葉では大変だと聞いていても、
長男が誕生するまではもちろん実感が湧かなかったのですが、
実際に子どもが家に居ると、とにかく大変。


夜中はすぐに目覚めて泣いちゃうし、
ママは最初は数時間おきに授乳しないといけないし、
離乳食を食べだしたら食べだしたで なかなか食べてくれないし、
などなど。

毎日オンコール状態
とは、まさにこのことか、と
夜中に子どもを抱っこしながら思ったこともしばしばです。


もちろん子どもは可愛いし、本当に癒やされるのですが、
思い通りにならないことが多すぎて本当に大変です。

我が家の場合、妻が専業主婦で実家もやや遠方なので、
夫婦で助け合いながらやらないと上手く家事が回らないという状況でした(今も、です)。


そういった中で、大学院である程度計画的に時間が作れて、
緊急手術などで忙殺されなかったのは本当に幸運だったなと思います。


それに、研究やバイトの都合を上手くずらして、
子どものために1泊2日の旅行や、子ども用の娯楽施設に連れて行きやすい

のも大学院で子育てをしてよかったかな、と思う点です。


教授には大きな声で言えませんが、こういったメリットも大学院にはあるんじゃないかなと思います。






まとめ


 「子育て」と「大学院」について考えてみました。


これから子どもを作る予定の先生や、
小さいお子様のおられる先生におかれましては、

もし大学院に入ろうと考えておられるのであれば、
子育ての時間や家族の時間を作るタイミングに合わせて
大学院に入られるのもいいんじゃないでしょうか??
 

突然ですが、私は腰椎椎間板ヘルニアを患っております。


もともと小学校から体育会系の部活をしていて、
その頃は何ともなかったのですが、
大学生になってから時々腰痛が出るようになりました。


毎年西医体の前には合宿をしていたのですが、
4年生の時に合宿中に腰痛と右下肢痛が出現し、
痛みのため立てなくなってしまいました。


その時は1週間ほどで痛みもおさまったので、
西医体にも出場することはできたのですが、
以降痛みにしばしば悩まされるようになりました。



ただ、学生のうちは、痛みさえ引退まで我慢できれば
それで大丈夫だと思っていて、
MRIなどの検査は受けていなかったのですが、
研修医になり、長時間の手術での立位で腰下肢痛が強くなるので、
医師3年目の時にMRIを撮影してみたところ、
L5/S1に立派な椎間板ヘルニアがありました。。。


当時の脊椎グループの上司からは手術を薦められていたのですが、

・ なかなか仕事も忙しく、入院するのもイヤだったということ
・ 麻痺症状はなかったこと

から、保存療法を選択することにしました。
 


湿布の他に、セレ◯ックスやリ◯カなどの内服、
さらには仙骨孔ブロックや神経根ブロックの治療も一通りして、
なんとか今までやり過ごせています😅


もちろん、常に痛みがあるわけではなく、
内服ナシでもスポーツすることも可能なぐらいに良いときもあります。
が、手術での立位が長引いたりすると時々痛みが顔を出してきます。

 

つまり、自分が椎間板ヘルニアの患者になることを経験したのですが、
そこで気付いたことは


・ SLRテストは思っているよりつらい
・ 神経根ブロックで、神経根に針が直接ヒットするとめちゃくちゃ痛い
・ 仙骨孔ブロックは、きっちり仙骨孔に入らないと効かない
・ トリガーポイント注射は、(なぜだかよく分からないけど)効くと下肢痛も良くなる


ということでした。


特に、1番目のSLRテストは、
整形外科の先生方であれば頻繁に行う身体診察だと思いますが、
勢いよく膝伸展位で股関節屈曲させると、
すごい電撃痛が走るので注意が必要だと思います。

本当に泣きそうなぐらい痛いときもありましたので。。。


また、2番目の神経根ブロックも、神経根近くに針が来た場合は、
本当にゆっくり1mmずつでも動かしてあげるほうが、
患者さんにとっては助かります。
飛び上がる程の痛みとはこれか、と実感しましたので笑



参考になるかどうかは分かりませんが、
普段診察する時に頭の片隅に入れてもらえればと思います。




まとめ

椎間板ヘルニアを疑う患者さんの診察を行う際には、


・ SLRテストは愛護的にゆっくり (Bragardテストも痛いときは泣きそうになります)
・ 神経根ブロックは、神経根近くは特にゆっくりと針をすすめる
・ ときにはトリガーポイント注射も有効


を考えていただければと思います!
 

今回は、脊椎外科を専攻すると決めてまだ間もない私が、
勉強しておすすめだった書籍(参考書)を紹介します。

若い先生方は、ぜひ参考にしてみてください!
では、早速行きましょう。







1.  脊椎脊髄病学

脊椎外科の分野で第一線でご活躍されている、
大阪労災病院の岩崎先生が書かれた本です。

脊椎疾患の診断法、検査法から治療法に至るまで、
多くの文献を参照されながら非常にわかりやすくまとめられている本で、
これから脊椎疾患について勉強される先生方は必読の書だと思います。

ちなみに私は卒後3年目の時に第1版を購入して、
半年ぐらいかけて読破したのですが、
2年前に第2版が発売されており、
そちらも購入して知識のアップデートに努めました。

何度見ても気付きも多く、またその文献に当たることもできますので、
非常にお薦めです。

また、参考書として調べる際に使うことも可能だと思います。



脊椎脊髄病学 第2版
岩崎 幹季
金原出版
2016-09-28

 



2. 整形外科医のための神経学図説

脊椎外科分野では、神経高位を理解することが
当然ながら非常に重要になります。

どの筋力・どの知覚・どの反射が どの高位を調べているのか、
これが頭に入っていないと、その患者さんの痛み・しびれの原因を理解することは困難だと思います。

その障害レベルをわかりやすく、かつ体系的に理解するのにこの本はもってこいです。

もともとはHoppenfeldの原著があるのですが、
日本語訳が充実しており、必読だと思います。

私はこれを読みつつ、絵を書きながら障害レベルを覚えていきました。





 




3. 脊椎手術解剖アトラス

福島県立医科大学の菊池先生が書かれた本です。
菊池先生が解剖学で集められた知識・アトラスを余すことなく書かれており、
その美しさと分かりやすさに読んでいてむしろ感動すら覚えます。笑

手術を行う上で、当然ながら解剖を正確に熟知していることは必須だと思います。
ただ、意外と脊椎の解剖アトラスを詳細に記載してある本は、上肢や下肢と比べると多くありません。

特に手術アプローチ:前方、側方は、これからの脊椎手術では多くなると思いますし、
他臓器との位置関係や解剖を知っておくことが必要です。

その需要にもこの書籍は応えており、解剖が大好きな私は、
この本を眺めているだけで時間が過ぎてしまいます。笑

ちなみに、脊椎のキャダバートレーニングの際にもこの本が大活躍でした!



脊椎手術解剖アトラス
菊地 臣一
医学書院
2017-05-10
 

 



4. 脊椎脊髄の手術

整形外科・脊椎外科といえば、やはり手術ですので、
その手術用の参考書です。

脊椎脊髄ジャーナル」雑誌で連載されている、
「イラストレイテッド・サージェリー」をまとめられた本になります。

この本の特徴は、
とにかく絵がキレイ!!!!!
これに尽きます。笑

また、展開以外にも手術体位・術後管理・後療法などについても言及されており、
私達の知りたいところに手が届くような本になっています。

それに、術式の記載も多岐に渡っているので、
それもすべて込みで24,000円であれば (もちろん高価ではありますが)
その価値は十二分にあると思います。






 

5. Critical thinking 脊椎外科

こちらも世界的に第一線でご活躍されている
三井記念病院の星地亜都司先生がご執筆された本です。

日常診療での疑問や、落とし穴 (神経内科疾患との鑑別など)について、
わかりやすく、面白く書いておられていて、とても勉強になる本です。
上に挙げた本と比べると、参考書と言うよりも、
どちらかと言えば読み物で、面白くて気がつけば読み終わっているような本です。



Critical thinking脊椎外科
星地 亜都司
三輪書店
2008-03-01





6. Rothman-Simeone and Herkowitz's The Spine

最後は英文の参考書を挙げておきます。
Spineの参考書で、おそらく最も世界的に有名な参考書が、
このRothman-Simeone The Spineだと思います。
診断、治療からバイオメカニクスなどの基礎領域まで、
とにかく詳細に脊椎分野について網羅してある本で、
ボリュームもありますが、読んでいて飽きません。

さすがに通読は私もできていませんが、
何か問題点に当たった際にはこの本から調べています。

また、ExpertConsultを経由して
ネットから電子書籍として読むことも可能ですので、
(スマートフォンのアプリからも読めます)

手術動画などもネットから閲覧することが可能で、
常に持ち運びをする必要もなく便利です。

ちなみに、リンク先のThe Spineは第7版で、
昨年出版されたものでして、私が持っているのは第6版ですので、
updateするか迷っております。値段は張りますが、その価値は十分にある本です。




 


 

以上になります。
この他にも、また面白い本・勉強になった本があれば
適宜記事にしたいと思います。

よろしくおねがいします。
 


 

前回記事の続きになります。



5. Research experience

このパートは、自分の研究内容を主に記載しますので、
ある程度の概要を書くことになりますが、
前出のawardなどを取った研究や、
科研費・奨学金などを取得した研究については、
そのこともアピールしておく方が良いと思います。

また、他学部や企業などとのコラボレーションをした研究についても、
その旨を入れておく方が良いでしょう。

そうすると、他職種との協調性や職務を円滑にできること
アピールできますし。

それと同様に、例えば多施設研究で自分が論文執筆などで
主に関わったりした場合も、良いアピールチャンスだと思います!

多施設研究はこれから多くなってくると思いますし、
そこでkey personとしてまとめ上げていれば、きっと高評価でしょう。




6. Publications

ここは、特に小細工なしで書くしかないパートだと思います。

一般的な評価は
「英語論文(impact factorあり)>英語論文(impact factorなし)>>日本語論文」
ですので、
impact factorのつくジャーナルへの投稿、そしてアクセプトを目指すしかありません。

ここが最も根気のいるところですね…

また、あまりに数が少なくて困る場合には、
共著者として入れてもらった論文も加えるといいかも知れませんね。
特に英語論文のco-authorだと良さそうです。




7.  (Academic) Presentations

いわゆる学会発表ですが、他にもシンポジウムや、講演等も含まれます。

私のように若手のうちは、学会での一般口演やポスター発表がほとんどだと思います。

「英語発表>>日本語発表」

ですので、やはりここも、頑張って海外学会に参加して発表することが肝要になります。




8. Examinations

ここは、私自身が最も学生時代からやっときゃ良かったなと後悔したところです

特に、USMLEのスコアなどは一番のアピールポイントになりますし、
そうでなくともTOEFLやIELTSなどのスコアは、
(いいものだけ)載せるのにはもってこいだと思います。

ちなみに、これは英会話の先生から教えてもらったのですが、
一般的に英語圏の国の大学や大学院で認知される、
英語力を証明できる資格はTOEFLかIELTSのようです。


日本だとTOEICや英検もありますが、始
めから海外でのキャリアを考えているのであれば、
そのどちらかの勉強をするのがいいかと思います。

例えば海外のMPHを受験する際には、
TOEFLとGREという2つの試験が必要になりますし。




9. Professional associations

整形外科医 (脊椎外科医) の場合だと、
日本整形外科学会(JOA)や日本脊椎脊髄病学会(JSSR)などでしょうか。

海外学会のmemberであれば、その方が評価は高いとは思いますが、
ここは自分でもあまり気にせず記載していました。




10. Special skills

もしプログラミングや何らかのスキルがあれば、アピールになると思います。

私の先輩医師は、ここに
有限要素解析のツールである「ansys」のトレーニングを受けて
userとして使えるということを記載しておられ、流石だなと思いました。

他にも、基礎分野だとRT-PCRやWestern blottingなどが出来るなど、
そういったスキルも記載すると良さそうです。








まとめ

例えば学生時代から、USMLEの試験に合格し、
基礎のラボに出入りして何らかの成果を積み上げていれば、
非常にアピールも大きいCVになるのでしょうが、
僕のような体育会系の頭では到底ムリでした。笑


そこで、医者になってようやく頑張りだした僕が、
もし研修医に戻れたとしてCVを真剣に考えたらどうなるのか
と思ったのがこの記事を書いた動機になります。


で、その結果、思ったことは、

「いかにチャンスを掴むか」

が大事なんじゃないかな、と感じました。


「チャンス」

とはつまり
学会発表のチャンスだったり、海外学会の発表のチャンスだったり、
論文執筆のチャンス、さらにはその最たるものがawardの獲得だったりすると思います。


普段からそういった事にアンテナを張っておき、
上級医や教授などからのチャンスがあれば
いつでも引き受けられるように準備をしておく

それが充実したCVを作成する秘訣
なのではないでしょうか? 



長い記事になってしまいましたが、 
最後までお読みいただきありがとうございました m(__)m

世間はお盆で相変わらず暑いですが、

私はお盆も関係なくバイトに研究に勤しんでいます…


最近CV(履歴書)を提出する機会が多くあり、

そこで自身のhonor/award欄が寂しいことに気付きました。


きっと卒後間もないと、みなさんそういった事に悩むこともある

のではないかと思います。


そこで、今回は、

自分のアピールポイントが充実したCVを作成するために、

どういった事にチャレンジするのが良いか?

を考えてみたいと思います。


※ 当たり前ですが、CVを埋めることが目的になってはいけないと思います。

あくまで、医師としてのキャリアを積む中で、CVが充実するようになるには、

どこに気をつければ良いか、
というのが私の観点です。



まず、CVに書く内容について、見ていきたいと思います。


CVの形式は基本的に自由なので、型通りのものはありませんが、

およそ以下のものが含まれると思われます (私のCVの書式に合わせています)。



1. Education
MDやPhDについて記載します。

2.  Postgraduate training
卒業後の研修病院や、研修内容などについて書きます。

3.  Licenses / Certifications
医師免許、専門医資格やその他の資格について書きます。 

4. Honors / Awards
受賞歴や表彰歴についてです。

5. Research experience
これまでに何らかの研究に携わっていれば、その研究歴などを記載します。

6. Publications
論文に残した業績を主に記載します。

7.  (Academic) Presentations
学会発表での業績を書きます。

8. Examinations
USMLEやTOEFL, IELTSなどの資格でのスコアを記載します。

9. Professional associations
入会中の学会などについてです。

10. Special skills
その他、自分の特技などを記載します。



これらの内容を充実したものにするために、何ができるか、そして何をすれば良かったか
を見ていきます。







1. Education

ここには出身大学、そして現在在学中であれば、
その在学歴、さらには学位を取得すればその内容を書きます。
ここはあまりこだわるのは難しそうですが、私は

大学での部活歴と、その成績(東医体 or 西医体)

を記載しました。特に、私は幸運なことに体育会系の部活の西医体で
副キャプテン時に優勝することができたので、その内容を記載しました。


大学在学中に何らかの賞や功績などがあれば、それが良いですね!




2. Postgraduate training

ここは色々と書けることが多いパートです!

研修病院では、例えば救急病院の規模や、
そこでの診療実績、特に当直実績などを記載できますし、
もし研修医でチーフレジデントなどをしていれば
大きなアピールポイントになると思います。

研修医で何らかの実績があれば、その事もしっかり書きましょう。


その後の赴任病院でも、
例えば症例数がどれぐらいだったか、とか、
何らかの特化した病院(整形外科領域で行くと、腫瘍・スポーツ・小児などに特化した病院など)
であればそこでの経験をアピールすることも重要だと思います。




3. Lisences / Certifications

ここは、自分がもっとやっときゃ良かったと思うパートです。
自分が書いたのは、医師資格、BLS、ACLS、整形外科専門医だけですが、
例えばJATECやAO certificate、緩和ケア講習など、
今から思うと取れるものは取っておくべきだったかな、と思っています。

ただ、日本整形外科学会専門医の〇〇医は維持にコストがかかるので、
悩みどころではあります。。。笑 




4. Honors / Awards

これですね、 ここが埋められるようになると、カッコいいと思います。
私は、同門の脊椎研究会で頂いた奨励賞と、
ヨーロッパのとある基礎学会で頂いたyoung investigator awardを書きましたが、
もっと書きたいところです。

そして、ここだけは努力以外の要素(特に、運!)が大きく左右してきます。

ですので、例えば学会でのアワード募集などがあれば
積極的に参加するように意識するようになりました。

ちょうど今、この秋〜来春の学会の演題募集が始まっています
が、award狙いで今回は2つ出してみることにしました。

あとは神のみぞ知る、で、発表するからには万全の準備をして臨みたいと思います。




長くなりましたので、続きは次回に。
 

以前の記事で御紹介させてもらったAO Spine Japan fellowshipですが、

必要書類をすべて集めて、7月末に提出しました!


前回と重複しますが、このfellowhipはAO Spine会員であれば、

誰でも応募が可能なものです。その他の要件として、



・整形外科もしくは神経外科専門医


・1年以上 membership をもつこと


・上級医2名からの推薦状 (1人はAO Spine member)


・過去2年間に1回はAO Spineの開催するセミナーに参加していること


・過去2年間に類似するようなfellowship programに参加していない


・論文の執筆が少なくとも1 or 2本 (脊椎/整形外科/脳外科領域)


・英語の能力を証明するもの (TOEFL / IELTSなど)


・45歳以下(が望ましい)



が必要ではありますが、 その倍率はそこまで高くない、と

とある高名な先生からお聞きしたことがあります。



書類で必要なものとしては、


・CV (英文履歴書)

・PS (Personal statement; 志望動機)

・LoR 2通(Letter of Recommendation; 推薦状)
(1通はAO Spine member、もう1通は施設長(教授など)から)

・英語の能力証明書類


になります。 


私の大学の脊椎グループの先生方が

なんとAO Spineの会員ではなかったため、

1通の推薦状をどうするか少し慌てましたが、

同門の指導医でお世話になった先生でmemberの先生がおられたので、

その先生にご署名をいただきました。



現在、書類審査を待っている段階ですが、

無事に選ばれましたら、今後申請される先生方にも参考になればと思いますので、

CVなども含めてnoteでの公開も考えています。



 

前回記事の続きです!

 
前回記事に書きましたように、大学院に入るメリットは、



・ 臨床を離れて(医局にもよりますが)、絞ったテーマに集中して勉強できた。

・ 開業医の先生、他学部の先生(私の場合は工学部や理学部の先生)との出会いがあり、
そこから得られるものが意外と多かった。

・ 臨床しているよりは時間があるので、本を読んだり、資産形成などの勉強ができた。


・ 留学への足がかりを作ることが出来ている(現在進行系)。




だと思っていますが、デメリットもあります。それが、


・ 臨床から離れている期間が長いので、(術後管理含めて)手術がまたできるのか不安。

・ 研究時間が不規則で、時に何日も研究室に引きこもることも。


 

だと思います。

この両者をまず天秤にかけることが重要だと思います。


次に、大学医局に入局されていない先生だと、

「入局」
が必須なこともありますし、

医局によっては、こんなデメリットもあるかもしれません。
 

これは医局によって異なると思いますし、

幸いにして私の医局ではこんなことは全くなく

ある程度自由に研究をさせてもらっています。


ですので、大学院の進学を考えている先生は、


現在進行系で大学院生に在学中の先生に

リサーチをかけるのがいい



のではないかな、と思います。

個人的には、

「医学博士」という肩書きを得ることのメリットは現状ほとんどない

と思っていますので、それよりも


大学院で何をするか?


の方が何倍も重要だと思います。






1番やめといた方がいいな、と思うのは、


なんとなく進学して、なんとなく研究して、

卒業してなんとなく勤務医として医局人事で赴任する。


だと思いますね。


せっかくの4年間、活かすも殺すも自分次第です。 
 

 

↑このページのトップヘ