一人前の脊椎外科医を目指して

医師12年目ぐらいの整形外科医が、一人前の整形外科医・脊椎外科医を目指すブログです。研究留学・論文・資産形成・備忘録などを載せていきたいと思います。 現在、米国spine centerへの臨床留学から帰国後、現在は某地方都市で整形外科医として勤務しています。

今回は、ちょっと珍しいテーマを考えます。それは、


歯列矯正


です。

orthodontics-3109763_1280


何言ってるんだコイツは??と
思われる方もおられると思いますが、

実は私、2年半前から歯列矯正を行っています。


そして、それが留学にも少なからず影響があるのでは
と思っています。



「なぜ私が歯列矯正を行っているのか?」


…の前に、 今回は、「歯並び」に対する考え方と、
「歯並び」が健康に与える影響について考えたいと思います。






 1. 歯並びに対する考え方


日本人は、あまり歯並びそのものに対して
意識する人は少ないと思います。

それは、日本では明確な意思表示や主張そのものが
否定的に考えられている、というところがあるからではないかと思います。


一方で、アメリカやヨーロッパ諸国では、
明確な意思表示や主張が重要で、曖昧にしていると
コミュニケーションが円滑に出来ないという特徴があります。

そういった文化的な特徴の違いもあり、 
欧米では「歯並び」は非常に重要視され、
リテラシーの高い親ほど、早期から我が子の歯並びを
矯正するという傾向があるようです。

そして、歯並びはもはやエチケットの1つで、
身だしなみや化粧などと同等に扱われている感覚もあるようです。



実際、 NZ出身の英会話の先生と話していた時に、

「肌」「歯並び」「髪の毛」

この3つのうち、ケアする順番に並べたらどうなる?

という話題になり、その先生は

歯並び > 肌 > 髪の毛

と話していました。

オーストラリアやニュージーランドでは、
紫外線の量が多く、皮膚ガンの数も多いはずですが、
そのニュージーランドの方ですら、

歯並びは最も重要なステータスの1つのようです。
(もちろん個人差はあると思います) 


また、アメリカ、フランス、ドイツ、スウェーデンなどでは

18歳以下では歯列矯正に対して保険が適応されており、
(もしくは、自己負担無料の国も存在)

その意識が表れている結果だと思います。 




 2. 「歯並び」が健康に与える影響


歯並びが悪いと、その審美的な効果以外にも、

出っ歯受け口の他に、噛み合わせの障害や
前歯が締まらないなどの問題が出てくると思います。

そして、それが原因で歯周病虫歯の原因になる場合も
あるようです。



実際に私も、
噛み合わせが深くなりすぎた結果
歯の痛みが出たり、

歯磨きがちゃんと出来てない影響で歯周ポケットが
出来てしまっていたりしたこと、と


歯並びにコンプレックスを持っていたことから、


大学院に入学したのをきっかけに歯列矯正を決意しました。







まとめ


歯列矯正の考え方と、健康に与える影響について
考えてみました。


欧米では、歯並びがエチケットの1つとして
考えられていることからも、

留学で滞在する際には、日本以上に歯並びについて
考慮する必要があるのではないか、と感じます。



自分の実力以外で、自分自身が不当に評価されない
というのはとても悲しいことですので、

歯列矯正から得られる審美的な効果と
将来的な歯周病や虫歯のリスクも全て考えれば、
私はそのメリットは大きいと考え、
歯列矯正を始めています。


もちろん、日本では自由診療 (保険外診療) になります
ので、金銭面でのデメリットは大きいですが、
それでも受ける価値は大きかったと思います。


 

前回記事では、次のロールモデルを考え、
必要な英語の学習方法について考えてみました。



 医師5年目の整形外科医。一度は英語論文を書いてみたいと考えている。また、留学も将来的には視野に入れたい。



これに対して、以下のような戦略を取りました。


 ① 英語論文の執筆: 整形外科分野の英単語知識 + 論文を書くための英語

 
 ② 留学英語資格の取得 → TOEFL や IELTS に向けた英語学習



前回は、① についての具体的な方法を見ていきましたが、
今回は、② についての方法を見ていきたいと思います。







まず、「留学」と一口に言っても様々です。


例えば、



・ USMLEなどの医師国家資格を取った上で、
  海外で医者としてバリバリやっていく、ための留学

・ 日本で 医学博士 (PhD)を取得し、
  その研究の延長 (いわゆるポスドク) として留学する方法

・ 私のように、臨床研究を目的とした留学

・ 公衆衛生学修士 (Master of Public Health; MPH) を
  海外の大学院で取得するための留学



などなど、多くの選択肢があります。


医師5年目の整形外科医 (重ねて書きますが、4年前の僕です) が、
その時点で既にどういった留学を目指すのか、その方針を固めていれば
それに突き進んでいけば良いとは思うんですが、、
僕は当時はそんな事は全く考えておらず、ただ漠然と

「人生で一度は留学してみたいなぁ〜〜」 

みたいな考えしか持ち合わせていませんでした。


ただ、そんな僕でも先輩医師や本などから感じていたことがあって、それは


・ 留学できるかどうかは、様々なの要素が強い

・ そして、その運 (=チャンス) が巡ってきた時に、
  チャンスを掴めるように準備できているかどうか 


これが重要だろう、と思っていました。


「どのタイプの留学が自分に出来るかどうかはまだ決めなくていい。」

「その代わり、準備は万端に、つまり、
  そのための英語学習をしておくんだ!」


こう考えていました。そして、それが

 英語資格を取ること 

だと思います。

つまり、
いざ留学行って来いと言われても、英語が出来ていないと意味がない。

そして、その「英語が出来ていない」とは、

日常英語ではなく、
自分の英語スキルを証明するものがない 

ということになると思います。


自分の英語スキルを証明するものとして、

TOEFL iBT や IELTS

が 必要だと考えたのです。


なお、なぜ僕が IELTS を勉強することになったのかは、
この記事に詳しく書きましたので、是非ご覧頂ければと思います。
 





まとめ

4年前の自分に戻ったつもりで、
医師5年目の整形外科医をモデルにして、
英語学習の戦略について考えてみました。


もし私と同じような境遇の先生方がおられましたら、
是非ご参考にして頂ければ嬉しいです。


お読み頂きありがとうございました。
 

前回記事の続きになります。


前回の記事では、英語の学習には


「目的意識をしっかりもつ」


ことが重要であることを書きました。



漠然と英語の勉強を開始する (例えば、本屋にあるような英会話の本やラジオ英会話の教材などを闇雲に始める) ことは得策ではありません。

始めようと思い立った時や、本を購入した時などはモチベーションが最も高い時ですので、それはいいのですが、そのモチベーションがずっと長続きすることは まず ありえません。

自分の目的に合わせた、焦点を絞った学習が必須です。


そこで、次のロールモデルを考え、必要な英語の学習方法について考えてみたいと思います。



 医師5年目の整形外科医。一度は英語論文を書いてみたいと考えている。また、留学も将来的には視野に入れたい。



前回も書きましたが、これは4年前 (大学院入学前) の私になります。

この時、私は英語の学習を開始するに当たって、以下の事を考えました。



 ① 英語論文の執筆: 整形外科分野の英単語知識 + 論文を書くための英語

 
 ② 留学英語資格の取得 → TOEFL や IELTS に向けた英語学習


これについて、1つずつ考えていきたいと思います。






① 英語論文の執筆


英語論文を書こうと思うと、当然ですがpublishされている英語論文をちゃんと読んで理解できる力が必要です。特に、 論文の最初のパートである introduction では、

「これまでの研究や論文で明らかになっていること」
そして、「未だ明らかになっていないこと」を簡潔にまとめた上で、研究の目的がそれに沿ったものであるかどうかを記載します。

この時点で 、過去の論文をきっちり理解することが当然ながら必要です。


英語論文の文献のまとめ方については、今後別の記事で書こうと思っていますが、今回は、論文を「書く」ことを意識した論文の「読み方」について まとめてみます。



英語論文を書いていてまず思うことは、英語論文は「英借文」である、ということです。

過去の論文から全てを引用してしまうと剽窃 (plagiarism) になってしまいますが、英文の構文や言い回しなどは、非ネイティブの僕たちには理解しづらいものなので、使えるところは利用させてもらおう、という意味です。


また、単語そのものも、当然ながら専門用語が多く飛び交いますので、それらを知っておかないと論文を読めないし、書けません。

そして、当然ながら過去の論文の正確な理解と、それをできるだけ短時間で出来る能力が必要です。


以上から、僕が英語論文の執筆の為に必要な英語学習として立てた戦略は、



 A.  英借文 (Writing)

 B.  専門用語の英単語 (Writing)

 C.  過去の論文の正確 かつ 短時間での読解 (Reading)


になります。





 A.  英借文 (Writing)


まず本文の4つのsection (introduction, materials and method, results, discussion) ごとに分けて、そこで使われている表現をWordファイルや手書きのノートに書き出すようにしました。

例えば、 intdoductionでの表現で、自分の研究の目的を示す構文として、

" In the present study, we aimed to elucidate …(研究内容)."

みたいな形で、 自分が使えそうだと感じる「カッコいい」表現を書き出しました。

以前に紹介した英語論文で参考になる書籍でも例文が多く載っているのですが、それをアレンジする形で加えていきました。



B.  専門用語の英単語 (Writing)


これも同様に、 Wordファイルや手書きのノートに書き出す形式を取りました。

ただ、これで僕が注意していたのは、単なる単語だけではなくて、その定義や分類なども余裕があれば書き出していました。

例えば、脊椎の矢状面バランスの論文には

"Pelvic incidence (PI)" "Sacral slope (SS)" "Pelvic tilt (PT)" "Sagittal vertical axis (SVA)" "Thoracic pelvic angle (TPA)"


などなど多くの専門用語や略語 が飛び交うのですが、その単語の定義がどの論文に載っていて、もし記載するならどの論文から引用してくるといいかどうか

についてもメモしていくようにしました。後々自分が論文を書く時に便利だと考えたからです。



C.  過去の論文の正確 かつ 短時間での読解 (Reading)


これが最も難しいところですね。

僕はまずは短時間で読解できることを目標に、論文を読む練習をしました。


まず、特に時間のない時は、abstract だけを読んで論文の概略を理解し、それが自分の必要とする論文かどうかを判断します。

この時点で5割ぐらいはその論文の理解が出来る印象です。


次に、introductionの最後のパラグラフ, resultsのfigureとtableがついている部分, discussionの各パラグラフの1行目, conclusion を読んで理解できれば (良い論文は)7-8割ぐらいは理解できていることがわかりました。


もちろん論文を書く際には materials and method の部分が重要で、統計の知識ももちろん大事なのですが、まずは理解を追いつかせるということで、この部分をサッと読んで理解できるようにしました。


ちなみに、僕の場合 論文にアンダーラインはあまり引かず、上記の使えそうな文章や単語だけチェックを入れていました。




まずは A, B,Cのこの3つのタスクを行えば,  論文に関する英語力はそこそこ良くなると思います。

実際に 私は卒後5年目の際に、この方法を実践して、論文をだいぶ早く正確に理解できるようになりました。

もし良ければ実践してみて下さい (^^)




②の留学のための英語学習については、次回の記事にまとめます!
 

今回は、「英語の学習」特に、

「何のために英語を学ぶのか?」


について考えてみたいと思います。





先日、研究室の納涼会に参加した際に、ちょうど医学部4年生の学生さんが早期研究プログラムで整形外科に来られている、ということで、同席する機会がありました。


そこで、「もっとやっとけば良かったと後悔していることは?」
という話になり、そこに居た全員が、偶然にも

「英語の勉強」


という答えで一致しました。


確かに医師になると、英語と接する機会が非常に多くなりますし、実際に私も現在進行系で留学について進めているところですので、まさに実感するところです。

ただ、英語と言っても、それは一つの言語ですし、勉強するにもあまりにも範囲が広すぎます。あえて例えるなら、「医学を勉強する」みたいなものでしょうか?


ですので、英語の中でも、


「何のために英語を習得する必要があるのか?」


にフォーカスを当てることが極めて重要だと思います。 


例えば、


 A) 医師5年目の整形外科医。一度は英語論文を書いてみたいと考えている。また、留学も将来的には視野に入れたい。


というモデルを考えてみると、


 ① 英語論文の執筆: 整形外科分野の英単語知識 + 論文を書くための英語

 ② 留学:英語資格の取得 → TOEFL や IELTS に向けた英語学習


というように、 目標を絞ることが出来るので、それに合わせた英語学習の計画を立てることができます。


逆に言えば、ここに「日常英会話」や「ビジネス英会話」などの学習を計画してしまうと、 範囲が広くなりすぎてしまい、収穫のない学習になってしまう可能性もあります。

 
次に、


 B) 特に英語論文などは書かないが、海外旅行での英語を上達させたい。

 
これであれば、 


 日常英会話の上達:(レベルにもよるが) NHK基礎英語の学習 や、シチュエーションを意識した学習


といった風になると思います。 





まとめ 


英語の学習方法について、その戦略を考えてみました。

ただ「英語」と言っても、あまりに範囲が広すぎます。自分がどういった機会で英語を使用し、そして何を目的に上達させたいのか。

それを意識することが極めて重要だと思います。



ちなみに、 ロールモデル A) は私の大学院入学前 (約4年前) の状況です。


A) の私は、実際に上記の目標を立てて英語学習を開始したのですが、
その具体的な方法については、次の記事にまとめたいと思います。


先日、来年からの留学予定先より内定書を頂き、

アメリカでの臨床研究での留学が正式に決定致しました (^^)


まずは一安心ですが、ここからが大変ですので、

奨学金申請やビザ申請、さらには学位取得などに向けてすべき事が多く、
もちろん英語力のアップも含めてさらに頑張っていきたいと思います! 



ところで、この留学ですが、、、(もちろん) 無給 です。。。 

しかも、「visitor fee」 という名の授業料を払わないとなりません。

それが毎月500ドル…今の大学院の授業料とほとんど変わらないです。涙

というわけで、まさに資金が命綱になります。


「そこまでお金を使ってまで留学する意味ってあるのか?? 」

という疑問は必ず出てきますし、私自身もこの悩みはずっと持ち続けていました。
(その答えの一部は、この記事をご覧ください。)


アメリカに1年間滞在するとして、(もちろん住む地域にもよりますが)
出費は全てコミコミで 約 800 〜1000 万円 …

奨学金などが得られたとしても、赤字は確定的で、そのお金を捻出するための資産形成が必要になります。



私は大学院入学時から、その資産形成を考え行動に移してきました。
具体的な考え方や方法については、こちらの記事 (1-7まであります) にまとめています。

ですが今回は、その資産形成で、特に私が悩んでいた (現在進行系で悩んでいる)
ことについて考えたいと思います。



それは・・・いわゆる 「節税対策」 についてです。






収入を増やす、特に節税対策も含めて、私は主に ふるさと納税 ぐらいしか行っていません。
最近では、個人型確定拠出型年金 (iDeCo)つみたてNISA などの投資を利用した節税があり、実際に導入されている先生方も多数おられると思います。



しかし、結論から言いますと、私はiDeCo,つみたてNISAともに未導入です。
これには理由があります。


まず1つ目は、留学でいくらの出費になるかが読めないこと、です。


今のところ留学期間は1年間ですが、1年間で帰国するのか、それとも研究を続行するか、新たな道を進むかなど、まだ自分でも悩んでいることは多く、決めかねているのが実情です。

ですので、出来れば手持ちの資金を置いておきたいという気持ちが強いです。



2つ目は、海外移住すると、NISA口座やiDeCoは取引制限されること、です。


これはSBI証券のHPにも一部記載があるのですが、基本的に国内での非居住者になった場合、iDeCoへの積立はできなくなります。また、口座が廃止される可能性もあるそうです。

つみたてNISAですが、これは運用(つみたて継続)はできなくなりますが、引き出しは可能だそうです。


ただ、いずれにしても、転居の手続きなどの煩雑さを考えると、留学後に帰国してからの運用を行うほうがベターなのではないか、と考えています。






まとめ


留学時の資産形成について、特に iDeCo や つみたてNISA を中心に考えてみました。

留学はもちろん資産が命です。いかにしてその資産形成を行うかが重要ですが、iDeCo や つみたてNISA については、帰国後から行うほうが良いのではないかと思います。

(あくまで個人の意見ですので、ご参考にしてみて下さい)




 

実は2週間ほど前から、またヘルニアを患っております。。。


最初は 遊園地で2歳の息子をメリーゴーランドに乗せようとしたのですが、
思いの外 馬車の座る位置が高く、 無理に息子を持ち上げて載せたのが原因です。

その際に、左の仙腸関節付近の「おもだる〜〜〜い」痛みを感じていたのですが、
まぁ大丈夫だろうと思い放置していました。


すると、その5日後辺りから左足底部と第5趾足背のしびれ感
(靴下を常に履いているような、鈍い感覚鈍麻)を自覚するようになりました。


内心「またS1領域か…L5/S1 ヘルニアだな…」と思っていたのですが、今回は
(ちなみに5年前は, この時の詳細はこの記事をご覧下さい) でしたので、
「なぜ?」という思いと、仙腸関節障害も併発しているのか?などと考えておりました。


しかし、どんどん 感覚障害と左大腿後面痛 (コレが一番つらい…)が強くなり、
いよいよ歩くのも非常にツライ状態になりましたので、
1週間前ごろから内服を開始しました。 


それでもやっぱりツライので、今日MRIを撮影したところ、、、

 
スクリーンショット_2018_09_05_17_26

スクリーンショット_2018_09_05_17_28


ありました。。L5/S1 ヘルニア。。。

ただ、前回 5年前と違うのは、



・ 前回はやや右よりに出ていたはずなのに、ほぼ正中に今回はヘルニアがある。

・ 正中の山の横に、左側にもう1つヘルニアが出ている??

HIZ (High Intensity Zone) がある。



でした。何にせよ痛いのは間違いないので、そのまま 今回もやってもらいました、コレ。


スクリーンショット_2018_09_05_17_34



効果は まぁボチボチでしたが、やらないよりはマシになったかな〜という感じです。


画像を見た限りだと、手術するなら椎弓切除なども考えなきゃダメかもですので、

頑張って内服で症状が落ち着くようにしたいと思います。

 


… 正直、ツライです(笑) 

いよいよ暦の上では9月になり、夏が終わりましたが、まだまだ残暑ですね。


今回は、脊椎外科医 (あえて整形外科ではなく)としてキャリアを積む上で、

どういった留学を目指すべきなのか

について考えたいと思います。




「整形外科医」ではなく、あえて

「脊椎外科医」

としたのには理由があります。



それは、脊椎外科は多様な種類の手術があり、
かつその診断や治療のタイミングが整形外科のその他の領域以上に
重要な分野だと考えているからです。


つまり、脊椎外科は整形外科の他の分野以上に

臨床のウェイトがかなり大きく、
特に手術について勉強することが極めて重要である

と私は思っています。



そういった点から脊椎外科医の留学を考えた場合、
個人の印象として



臨床に直結した留学



を行う必要がある、と結論づけました。






留学といえば、 一般的には
基礎研究」留学のことを指すと思います。

つまり、大学院などでの基礎研究の延長(いわゆるポスドク)
として留学する、という方法です。



これだと


1. 大学の研究室のコネを利用しやすい

2. 留学先からの給料も得やすい

3. 日本人であっても その能力を正当に評価してもらいやすい



などの利点がある思います。


私も大学院で3年半の間、
生体材料に関する基礎研究を行ってきましたが、

自分が脊椎外科を志すのでなければ 
基礎研究を海外でやってみたい

と思います。



しかし、上記の脊椎外科の特徴を考えると、

貴重な留学の時間を脊椎分野から完全に外れた内容に充てるのは得策ではない

と個人的に考えています。 


これは、今私自身が大学院に在学して、
臨床から離れて少し焦っていることが原因の1つです。


この数年で脊椎外科の手術は変遷を遂げており、
特にOLIF, XLIFなどの側方アプローチでの固定術などは一気に広まっています。


そういったものを目の当たりにして、
技術や知識のアップデートを行う必要性に迫られている
という点です。


さらに今後はロボット支援手術や頚椎人工椎間板なども
欧米から導入される可能性もあり(既に導入されているものもあり)、
間違いなく日々進化していきます。


つまり、留学するのであれば



脊椎外科を十分に学べる、最先端のところに行くべき



と思います (あくまで個人の意見です)。



そして、私個人が思う、臨床分野での留学先を決めるポイントは、



1. 世界的に有名な先生 (特に自分のサブスペシャリティーにしようとしている分野の先生) がいる

2. 前任でおられた先生 (日本人) がしっかり業績 (論文) を残している



です。



なお、私自身は来年4月からアメリカのとある施設での留学を予定していますが、
上記のポイントを満たしていましたので、
それを決め手に、留学の申込みを決意しました。







まとめ

脊椎外科医を目指す上での留学についてまとめました。

脊椎外科医なら、やはり臨床を重視すべきだと思いますし、
臨床に直結した留学を行うべきのではないかと思います。


今回は少しマニアックな内容でしたが、お読み頂きありがとうございました。
 
 

前回記事の続きで、


「大学院での研究と育児は両立できるか?!」


について考えていきたいと思います。

前回の記事を簡単にまとめますと、
大学院1年生の秋に子どもを授かり、
妻の体調が変化するようになり、

少しでも妻の家事の負担を減らす

ことを考えるようになりました。 そこで私の考えたことは、



 1. 研究室でしか出来ないことは研究室で、研究室以外でできることは研究室以外で!

 2. 研究室ですることは、事前に計画を立てた上で、集中して行う!

 3. 家に帰れば頭を切り替えて、家事に集中

 4. 時間が足りないなら、早朝の時間を活かすべし!

 5. 研究の予定は、できるだけ分散、週1-2日は休養日 (家族サービス日) を作る!




ということでした。今回は、この内容を1つずつ見ていきたいと思います。







1. 研究室でしか出来ないことは研究室で、研究室以外でできることは研究室以外で!


家事 (育児) を行う時間を増やすということは、つまり
研究室に滞在する時間を減らすということになります。

さらに具体的に言いますと、研究室では、
研究室以外で出来ることはしない
ということを考えました。


例えば、研究室でしか出来ないこととは、私の実験で考えると


(基礎研究)
・細胞培養、細胞実験
・動物実験、組織標本作成 、標本観察

(臨床研究)
・ 患者さんのデータ計測 (匿名化処理も含む)


となります。その他の作業、例えば


・ 生データ処理、統計学的解析
・ 論文収集、論文整理、論文作成


この辺りは、研究室に居なくても出来る事になります。

研究室に滞在する時間を減らすには、
極端に言うと、前者の作業しかしない!
ということになります。 



2. 研究室ですることは、事前に計画を立てた上で、集中して行う!

 
1 を踏まえて、研究室でないと出来ない作業を見ていきましたが、
実際に頭で考えると、私の場合、
大学に着いていざやるぞ!となると、何か抜けていたり、
やらなくて良いことを無意識にやってしまったりします。笑 


特に基礎研究では、とにかくすることが多いので、
私は 毎回ノートに書き出して、何を大学院でやるのか、
そして、どこまで大学院で研究を進めるのか、
を計画
しています (実験ノートとは別にノートを作成しています)。


そして、私の経験上、計画は週単位で立てるのが
良いような気がします (これは 5 にもつながるところです)。


滞在時間を減らすため、この計画の立案も
自宅や電車内などの研究室以外 で行うようにしています。


もう一点、計画は無理に詰めすぎないことが大事だと思います。


実際に研究を始めると、慣れてきても
結構手こずることが多いと思います。

僕は大学院4年目ですが、未だに
RT-PCRでマイクロピペットの量を間違えそうになったり、
どこまで入れたかわからなくなったりして失敗することもありますので、
(何回PCRやってきてん、という話ですが。汗)、、

余裕を持った計画を立てることが肝要です。


※ ちなみに私は (バイトなどのdutyがなければ) 18時に帰宅する
ことを目標にして、そこから逆算して計画を立てています。
4 とも関連しますが、どうしても研究が多くなるときは、
朝にずらして5時や6時から研究室に行くことも時々あります。
極力後ろ(夜間)には計画を伸ばさないようにしています。




3. 家に帰れば頭を切り替えて、家事に集中! 

 
計画通りに終われば、気持ちよく家に帰れますが、
失敗したり上手くいかないと、当たり前ですが、
あまり気分良くは帰れません。

仕事でもそうですが、これを家に持ち帰ることは厳禁!です。


何のために家に早く帰るのか?

もちろんその理由は、妻のためであり子どものため、
そしてそれが自分のためにも繋がるからだと言えます。


家に帰ったら、切り替えて家事・育児に集中する。
5 にも繋がりますが、これが最も重要なことだと思います。




4. 時間が足りないなら、早朝の時間を活かすべし!


1.でも書きましたが、研究室では限られたことしかしませんので、
論文の執筆やデータ解析などは他の場所ですることになります。

私が今までの大学院生活で、それらの作業をしてきたのは、


・ 外勤先 (救急待機時間や寝当直での空き時間)
・ 図書館
・ 自宅


主にこれらの場所でしていました。
特に、自宅で行うのは、3.とある意味矛盾しているようにも感じますが、
「早朝勉強」で 家族が寝ている時間を狙って行っていました。

早朝は頭が冴えていて、集中力も高まっていますので、
論文の執筆ペースは夜間にすることと比べると早くなったことを私自身 実感しています。


この早朝勉強の詳しい方法はこちらの記事に 書いていますので、
是非ご参考にしてみて下さい!




5. 研究の予定は、できるだけ分散、週1-2日は休養日 (家族サービス日) を作る!


研究は、一回始めると一気にやりたくなるもの。
つい何日かで詰め込みたくなることが多いです。

どうしても連日しないといけないことがあれば話は別なのですが、
その方法はあまりオススメしません。


例えば週に1-2日は 培地交換のみ とか、標本観察 数スライドのみ、
とかにして1-2時間で早々に終わらせる、という風に
仕事を減らす日を作ったり、数日に分けて予定を立てたりすることで、

自分の疲れを溜め込みすぎない ことが大事だと思います。


私の場合、家族と買い物に行ったり外で食事をしたりすることは、
とても良いストレス解消になっています。

ストレスをきっちり解消しておかないと、
同じパフォーマンスを続けて保つことは難しいのではないでしょうか?


ちなみに私は実験の調整が可能な限り、
木曜日と日曜日を休養日にすることでストレス解消を図っています。
ただ、外勤の当直が入ると厄介で、計画をその都度変更していますが。。。


※ 「子どもの世話をすることで逆にストレスって溜まるよね??」
 って思われる方も多いと思うのですが、 (確かにストレスは溜まるのですが)
 研究のストレスと育児のストレスは種類が全く違うので、
 僕の場合は 育児が逆に良い息抜きになっています。
 この辺りも、切り替えという部分で大事なのかも知れません。




おわりに

私は全く要領の良いほうではありませんので、
この5つのポイントは、大学院で自分なりに日々試行錯誤を続ける中で、
何週もかけて見出してきたものです。

よくよく考えれば当たり前だなと思うことばかりなのですが、
このポイントが守れていないと、
今では研究のリズムも上手く回らないなと感じるようになっています。


この結果、大学院に滞在する時間はかなり減ったと思います
(もちろん研究の成果は残しているつもりですし、論文も執筆しています)。

その分家族との時間を増やす、
さらに育児との両立には成功しているんじゃないかな〜〜?!

と思っています。 




長々と書いてスミマセン、
ここまで読んでいただきましてありがとうございました!

大学院で現在研究されておられる先生がおられましたら、
是非ご参考にしてみて下さい!

また、他にアイデアやご意見等ありましたら、
気軽にtwitterやコメント欄等で教えて頂ければうれしいです。

よろしくおねがいします。
 

以前に、育児と大学院入学のタイミングについて書きましたが、
今回のテーマは、

大学院での研究と育児は両立できるか?! 

です。 



臨床医としての生活と比較すると、
大学院生活はまだ楽と言われます。

しかしながら、本業は研究ですし、
さらにはバイトにも行かなければなりません。

他学部でのいわゆる「大学院生」(修士、博士)と比べると、
医学部の大学院生は概して忙しいと思います。



大学院での研究は、もちろん研究の種類にも依りますが、

一朝一夕で終わるものではない
ですし、

本当に地道に一つ一つコツコツと積み重ねていかなければなりません。


また、結果によっては、すべてが水泡に帰すこともしばしばあり、

「自分は一体この◯日間何をしてきたんだ…」

と自問自答してしまうこともあります。。。


そのような状況ですので、研究室に行って研究を始めると、
あれもやらないと、これもやらないと…
と考え出してしまい、結果的に長時間 研究室に籠もってしまうことになります。

それだけじゃなく、長時間ということで、
集中力も途切れがちになり、ますます帰宅時間が遅くなってしまうことも…

特に、他に院生がいると、ついお喋りが進んでしまいます。
まさに悪循環。。。



実際に、大学院に入学してからしばらくは、
こんな感じの生活を送ってしまっていました。

これでは1日が24時間あっても全然足りないぐらいです。
育児なんて到底できない。。。



しかし、大学院1年生の秋に転機が訪れます。
嬉しいことに僕たち夫婦の子どもを授かったのです。
と同時に、妻につわりなどの体調変化が出てくるようになり、

少しでも妻の家事の負担を減らさないと

と実感するようになりました。

つまり、
研究室にいる時間を減らして、極力早く帰宅する、
ということです。

これは、子どもができてからの育児の時間、ということにも繋がります。






ここで僕が考えたことは、



 1. 研究室でしか出来ないことは研究室で、研究室以外でできることは研究室以外で!

 2. 研究室ですることは、事前に計画を立てた上で、集中して行う!

 3. 家に帰れば頭を切り替えて、家事に集中

 4. 時間が足りないなら、早朝の時間を活かすべし!

 5. 研究の予定は、できるだけ分散、週1-2日は休養日 (家族サービス日) を作る!



です。


この 5点について、次の記事で詳しく見ていきます!

次回記事をお楽しみに。
 

以前の記事に、脊椎に関しての参考書を紹介させていただきましたが、今回は


医学論文 (特に, 英語論文)の執筆


に関して 、私が特に勉強になった、
是非他の先生にもオススメしたい参考書をご紹介したいと思います!

ちなみに、僕の英語論文作成歴 (first authorとして) ですが、
医師9年目で2本の英語論文があり、3本の英語論文を現在投稿中です。

その僕が勉強になった参考書を挙げていきます。







1. 臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意


循環器内科がご専門の 原 正彦 先生が執筆された参考書です。
この参考書を特にオススメしたい理由は,


・ 研究したい!論文書きたい!とモチベーションを高めてくれる 
・ クリニカルクエスチョンから論文作成・投稿まで, 若手医師でもそれほどハードルが高くない内容で, 出来そうな気にさせてくれる



が大きな理由です。

世間には多くの医学英語論文の参考書が発売されていて、

私もそれなりに多くの本を読んできましたが、

臨床研究をやりたい!

って思わせてくれる本は、この本が1番だったと思います。


それは、著者の原先生が、
他の本の著者と比べると若手の先生 (医学部平成18年卒とのことです)
であるということ(私よりは医師として先輩ですので恐れ多い表現でスミマセン) と、


比較的若手の先生にも関わらず
業績がスゴイ、
論文を書きまくっている、
そして臨床研究学会などの立ち上げにも参画しておられる

などの点もあるのではないかな、と思いました。


ただし、内容としては入門書といった感じなので、
何本か既に書かれている先生には少々物足りないと感じそうです。








2. 必ずアクセプトされる医学英語論文 完全攻略50の鉄則


東京大学臨床疫学の康永秀生先生の著書になります。
クリニカルクエスチョンの立ち上げから
英語論文の書く際の注意点や心構え、
さらには英語論文の読み方まで言及されている、
まさに指南書です。

この本のオススメしたい理由は


・ 実際の英語構文の書き方まで言及していて、すぐに実践できる内容が多い (平易な英語構文の推奨)。
・ 各パートの鉄則、投稿に関わる情報について、詳細に言及している。
・ Revise後のeditorとのやり取りなどの解説が詳しい。


という点です。
とにかく具体的に書いてある、というところがこの本のスゴイところで、
この著書を横に置いて論文を書くのが良いと思いますし、
自分もそのようにして論文を書きました。

論文は simple is best なんだと気付かされる名著です。









3. 時間がなくても、お金がなくても、英語が苦手でも、論文を書く技術


この著書のコンセプトは、
いかにコスパ良く英語論文を仕上げるか
というところで、そのための方法が惜しみなく記載されています。

Google翻訳の上手な活用方法から、
研究テーマの設定のためのビジネス思考など、
単なる英語論文の粋を超えて、
日常診療などにも役立つ知識が豊富に書かれています。

特にこの本が良かったのは、

・ 著者の実践的な経験談をベースにして書かれてある
・ 分量を抑えていることで、すぐに通読することができる

点でしょうか。上記2冊の本もそうなのですが、
こういった how to 本は分量の多いものが多いのですが、
これらは重要な部分のエッセンスを記載してあるので、
忙しい先生方でもすぐに通読できてしまうところがいいところです!








論文の執筆には統計学的な知識は必須になりますし、
統計学についての勉強も必要にはなりますが、
今回は医学統計に関する参考書は除外して、
「英語論文執筆」に関しての有用な参考書を挙げてみました。


ご意見・ご感想などあれば記入してもらえれば嬉しいです。
よろしくおねがいします。 



 

↑このページのトップヘ