一人前の脊椎外科医を目指して

医師12年目ぐらいの整形外科医が、一人前の整形外科医・脊椎外科医を目指すブログです。研究留学・論文・資産形成・備忘録などを載せていきたいと思います。 現在、米国spine centerへの臨床留学から帰国後、現在は某地方都市で整形外科医として勤務しています。

前回記事で、オンライン研究会や学会について考察を行ってみましたが、
やはり勉強のベースとなるものは論文や教科書が中心となります。


以前の記事で脊椎外科を勉強するのに必要であろう教科書について
紹介させて頂きましたが、その記事を書いてからしばらく経過し、さらに
感銘を受けたものや勉強になった本がいくつかありましたので、
今回はそれらについて紹介させていただきます。

ぜひ皆様の明日からの日常診療に活かされれば嬉しく思います。
では行きましょう!


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1. 痛み治療のための超音波ガイド下神経ブロック実践テキスト

2. 脊椎エコーのすべて


日常診療において、いわゆるエコー (超音波装置)は必須のものになっています。

脊椎外科領域以外の部分でも当然ながら活躍するエコーですが、とりわけ
ブロック注射や伝達麻酔など、エコーガイド下神経ブロックは特に有用です。


私自身、治療目的の頚椎神経根ブロック仙骨孔ブロック上殿皮神経ブロック
坐骨神経ブロック、さらには上肢手術時の腋窩部ブロックや斜角筋ブロックでは
エコーを使いまくっています。
 (細かい話ですが、仙腸関節ブロックはブラインド手技で行っています)

僕自身、エコーは もはやなくてはならないものですし、その勉強は必須だと思いますが
意外に良い教科書がないな…と昔は思っていました。

しかし、上記に挙げた2冊の本は本当にわかりやすく、かつビジュアルが理解しやすく
なっています。エコーの画像やイラストが多いので感覚的に理解しやすい構造になっています。


1は麻酔科 (ペインクリニック)からの視点、2は脊椎外科からの視点で書かれており、
どちらもオススメです。エコー画像が多く四肢も含めて網羅されているのは前者、
脊椎外科関連に特化してイラストが多く理解しやすいのは後者かなと思います。




痛み治療のための超音波ガイド下神経ブロック実践テキスト [ 齊藤 洋司 ]
痛み治療のための超音波ガイド下神経ブロック実践テキスト [ 齊藤 洋司 ]




脊椎エコーのすべて 頚肩腕部・腰殿部痛治療のために -SONOANATOMY、 TARGET and INTERVENTION- [ 岩崎 博 ]
脊椎エコーのすべて 頚肩腕部・腰殿部痛治療のために -SONOANATOMY、 TARGET and INTERVENTION- [ 岩崎 博 ]



3. 整形外科イラストレイテッド 腰椎の手術、頚椎・胸椎の手術、脊髄の手術


前回記事では、手術用の参考書として、「脊椎脊髄の手術」を紹介させて頂きました。

脊椎脊髄の手術 第Ⅱ巻
三輪書店
2015-04-21


この本は非常に有用で、本当にお世話になっている教科書ですが、
どちらかと言えばやや応用向けの内容となっている印象です。


脊椎外科を志した先生方 (や、大学院・留学明けで完全に臨床力が落ちていた私)にとって
より基本的な手術手技や内容、基本に立ち返って勉強しようと思った際に
色々と本を読んだ結果、最も参考になったのが「整形外科イラストレイテッド」の
脊椎手術の本になります。


これも上述の参考書と同様に、とにかく絵がキレイ!!
さらにピットフォールについても詳細に書かれていて、基本に立ち返ることができる
良書だと思います。価格はやや高いですが、その価値は十分にあると思います。










4. 基本腰椎外科手術書

「何を今さらこんな名著を紹介するんだ」と思う先生方も多いと思いますが、
最後にこの名著をご紹介させてください。 

富山医科薬科大学に教授をされていた辻陽雄先生の著書で、腰椎外科を扱う上では
まさに「聖書」のような存在の教科書になります。 



実はこの本は私にとって最初に脊椎外科に触れた教科書でした。
研修医のときに整形外科をローテーションした際、
その病院で脊椎外科の主任をされていた先生に、
もし脊椎外科を志すなら、まずこの本を読破しなさい
と言われ、その先生に貸していただいた教科書がこの本でした。


2ヶ月のローテーションで必死に読みましたが、その際にはさほど深くは理解できて
いなかったのではないかなと今では思います。


時が経ち、 今年のJSSRにオンラインで参加していた際に、富山大学の川口先生が
手術の基本手技と器具の使い方」という題でご講演をされておられ、そこで
この本から学ぶ辻先生の考え方や、手術への向き合い方について話しておられました。


その内容が私の心に刺さり、やはり
基本に立ち返って勉強することを忘れてはいけない
と思い、今年に入って再度読破しました。


約10年ぶりに読みましたが、新たに得られた内容 (今まで意識していなかった内容や、
道具の使い方の盲点など)が多く得られ、まさに「名著」だなと再認識致しました。


実は絶版になってしまっており、リンクは下記に載せておりますが、
Amazonや楽天から入手することは高価な点から困難かもしれません。


ですが、まだ一度も読んだことのない若い先生方には、ぜひ目を通していただきたい、
自信を持っておすすめしたい教科書になります。

 




今回は以上になります。

これからも、いい本を発見したらまたご紹介させていただきます!
 

COVID-19の影響により、これまでface-to-faceで行われていた学会や研究会が

軒並みオンライン化されています。日整会 (JOA)や日本脊椎脊髄病学会 (JSR)は

もちろん、企業がスポンサーとなって行われている手術のセミナーなども多くは

オンラインで視聴することができるようになりました。


直接講演者の先生と話を交えることができない、ということは残念なことも多いのですが、

オンラインならではのありがたい点もいくつかあります。

特に脊椎外科に関して考えてみると、メリットも大きいのではないかと思います。

今回は、そのメリットと、それを活かすための方策について考えてみます。

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1. 手術動画をじっくり見られる

オンラインでのセミナー (ウェビナー)の一番の良い点はこれじゃないかと思っています。

自分のPCを使用して、演者の先生方の手術動画を見ることができる。

学会などの大型スクリーンで見ると、わかりにくいところや気になるところがそのまま

スルーされていきますが、ウェビナーだと自分のPCですので明瞭に見えるし、

術者の細かい手さばきも観察できる。


また、過去のウェビナーを医療者用HPにアップロードしてくれている業者

(Depuy SynthesさんやMedtronicさんなど) も最近は増えてきているように思いますので、

そのサイトからは繰り返し動画を見て学ぶことができるのが本当に良いです。

私自身、これのサイトを空いた時間では何度も見て勉強しています。



2. 海外学会にもオンラインで(比較的安価に)参加できる

海外、特にUSAでは徐々にCOVID-19から解放されつつあり、オンラインも終焉になる

可能性もあるのではないかと思われることから、逆に今がオンラインで海外学会に

参加できるいいチャンスなのではないかと思います。


学会の魅力として、例えばフロリダやアリゾナに行ってめちゃくちゃ酒を飲んで楽しんで

独特な楽しい雰囲気で参加する、ことが出来ないのは非常に残念なのですが、、、

逆にオンラインで安価に参加できることはメリットだと思います。


通常だと$1000 (日本円で11万円ぐらい)近くするような学会でも、オンラインだと半額以下に

なることも多く、実際に昨年参加したCSRS (Cervical Spine Research Spciety)

そのような感じで参加できました。また、CSRSにはinstructional courseというものがあり、

on-demandで欧米・アジアの頚椎外科の専門家の講義やdiscussionに参加することができます。

(もちろんLIVEで参加可能ですが、時差もありますので昨年はon-demandで参加しました)
 




他にも多くの活用法があるかと思います。

もし何かありましたら、コメントなどいただければ嬉しいです。よろしくおねがいます。

 

最近では、海外留学 (臨床留学・研究留学) を考えるドクターは少なくなっていると

聞いていますが、そこにCOVID-19の影響も相まってさらにその数は少ないと思います。

今までの安定した生活を崩し、海外で生活を送るということは本当に労力が必要で、

当然ながら金銭的にも苦しくなることが予想され、そこまで苦労して行うべきことなのか

と考えるのも無理はありません。


今回は、実際に1年強の間、家族と渡米して臨床研究のために留学を行った私から見た

海外生活で得られたものについて考えてみたいと思います。

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1. 海外生活を送ることで失うもの

「失う」というと大げさかもしれませんが、実際には金銭的なことが大きいでしょう。

ビザの申請から始まり、渡航費住居費、家族で移り住んだ場合には子供の養育費など

日本で安定して(医師として)生活を送ることから考えると、

もしかすると1000万から2000万円ほどの差異があるかもしれません。 

さらに、もし日本に帰ってくることを最初から想定するのであれば、医局人事などでの

いわゆる「奉公」などで、帰国後はどこに赴任するかわからず、これまで安定していた

職場の変更も大きなストレスの要因になりうります。

子どもが就学時の場合、教育面の問題 (日本語の遅れや転校の問題)もあります。

こうして考えると、失うものは確かに大きく、留学を自己投資と考えた場合、

そこまでの自己投資が本当に必要なのかを考えることは必須です。


では、そこまでの犠牲を払って海外生活を送ることで得られるものとは何なのでしょうか?


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2.  海外生活を経て得られたもの

予め述べておきますが、ここからは、大いに個人的な意見が入ります。。。

実際の経験から、得られたものを大きく2つに分けて考えたいと思います。


A. 生き抜く力

こう書くとかなり大げさかもしれないですが、ある意味サバイバルのような要因です。

現地に生活してからの生活環境のセッティング、家賃交渉や銀行口座の開設、子どもの

学校を決めたりなど、生き抜くために止まっていられません。

自分で局面を打開しなければならず、ましてや日本語以外の言語で行わねばなりません。

確かにストレスではありますが、今思うと、あれだけあの時必死だったということで、

日本に帰国してからは、ちょっとやそっとでは凹まないメンタルを保てるようになりました。


ただ、当然ですが1人で生活しているわけではありません。

家族・友人や見ず知らずの人まで、その過程で多くの人の助けを借りながら乗り越えて

いけました。そういった人々への感謝の気持ちは今でも持ち続けています。


B. コミュニケーション能力 

今風に言うと、コミュ力というやつでしょうか?

現地で多くの人 (特に日本人以外)と接していると、

何も話さないことは、何も考えていない

というような感覚に出会うことがありました。

話を自分からしていかないとアピールにつながらない、そして職場ではボスにどんどん

アピールをすることで仕事を得ることにつながることになり、

日本での生活とは大きくスタンスが異なるように感じました。

そういった環境に身を置くことで、自分の中での後悔が少なくなったように感じています。



3. 最後に

実は医学的なこと (向こうで学んできたことや研究成果について)は、

もちろん向こうでしか得られなかったことはありますが、

こと脊椎分野について考えると、日本のレベルは非常に高いと感じていましたので、

海外じゃないとダメ!というものはほとんどないように感じました。


活かすも殺すも、自分次第だなと。 


自分にとっては、この留学には決して後悔はありませんし、

多くの犠牲を払ってでもできてよかったなと思っています。

ただ、留学を過去の思い出話に終わらせてしまうことはダメで、

自分の今後に活かすことが何よりも大事なことだと考えています。 

 

ブログの更新がかなり滞っておりました…誠に申し訳ありません。

これまでの記事では、留学について:特に留学準備期について書いておりましたが、

そちらに関してはまた書き綴って行きたいと思っています。

ぜひ温かい目で見守ってもらえれば嬉しいです。

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まずは、近況について報告致します。

米国からは、COVID-19の影響もあり2020年8月に帰国致しました。

本音はもっと留学先で研鑽を積みたかった、そして生き残りたかったのですが、

COVID-19による大きな変化、そして家族の安全を考えて帰国することにしました。


2020年9月中旬からは、某地方の小都市で勤務医として日々奮闘しています。

これまでは市中病院でも比較的マンパワーの多い病院で勤めていましたが、

現在の赴任先は病院全体で200床程度、整形外科医も5人以下の状況で

かつ100床近くを整形外科で占めていますので、本当に日々忙しくしています。

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そして、手術についても、指導医のいない状況で自分でやりきることが必須です。

これまでの自分の環境を考えると、指導医がいるところでぬるま湯に浸かっていた

と感じることもあり (大学院と留学とのブランクもかなりありました)、

勤務当初は苦労することが多かったですが、徐々に慣れてきたかなと思っています。


また海外で勤務する夢は諦めてはいませんが、今は力を肥やす時期だと前向きに

考えて、日々勉強・日々精進の気持ちを大切にして過ごしています。


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これからも、頻度はさほど多くはないかもしれませんが、シレッと更新していきたいと

思っておりますので、またよろしくお願いします〜。


前回記事の続きになります。


・ いよいよ面談

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(Image by Russell Clark from Pixabay.)


色々と準備を進めているうちに、いよいよ米国大使館 (領事館)での面談になりました。

面談では、大きな荷物を持って入ることは禁止されていますので、当日は最寄り駅のロッカーに荷物を預けて、タクシーで向かいます。

なお、YouTubeに大使館が解説をしたビデオがuploadされていますので、こちらを参考にされるのが最も良いと思います。
 

ここでは大使館の人から質問をされていますが、私の場合は

"Are you a medical doctor?"  "Yes. ^^"

のやり取りしかなく、 あっさり終了。本当にあっけなく終わりました。
1番のハイライトは、建物内で息子が突然走り出したのを止めようとして急に走り出した際に、自分の腰椎椎間板ヘルニアが再発してしまった (下肢痛・しびれ)でしょうか。笑

なお、パスポート以外はすべて当日に返却してもらえます。
(パスポートには、ビザが貼付されて後日郵送されます。私の場合は3日後に手元に届きました。)



・渡米前にできることと、渡米後にすること

さて、これでいよいよ渡米の準備が整ったわけですが、米国でのセッティングに際して、日本に居ながら出来ることと米国に直接行かないと出来ないことがあります。
そこで、それらについて考えてみたいと思います (実際の体験にも基づいています)。



1) 日本から出来ること



これはどの地域に行くかによって大きく異なると思います。私の場合、日本人研究者や駐在で来られている方が比較的多いエリアでしたので、多くのことを日本国内に居ながら行うことが出来ました。


A) お金 (海外送金含む)

まずはこの問題が一番重要なところだと思います。
西海岸に住む方であれば、Union Bankでは三菱東京UFJ銀行と提携していることで、日本国内から銀行口座を開設することが可能です (詳細はホームページ、または大谷先生のご著書をご参考にしてみてください。


ただ、Union Bankは残念ながら西海岸以外のエリアにはほとんどありません。私の場合もそうでしたが、その場合には別の方法を考えなければなりません。

お金をアメリカに持ち込む方法としては、まず考えられるのが

直接現金を持ち込む

という方法です。最も確実かつシンプルな方法ではありますが、一つ問題があります。

それは、
 
100万円以上の現金には関税がかかる

ということです。最初のセッティングで100万円以上はかかってしまうことが予想される場合、それ以上を持ち込んでしまうと密輸になってしまいます。 
また、100万円はまあ良いとしても、それ以降に日本円をドルに両替して米国内の口座に将来的に送ることも考えると、これだけでは不十分です。



・ PRESTIAを使う

そこで、私は三井住友信託銀行 PRESTIAのキャッシュカードを使用することにしました。

 

 私が留学準備をしていた際には、PRESTIAの米ドル専用キャッシュカード (今はGLOBAL PASSという多通貨で使用可能なキャッシュカードに変わっています)があり、それで米国内でのATMでお金を引き出して使用していました。

これが便利なのは、 ATM手数料が(一部)無料になっているという点、そして、PRESTIAの口座に日本円を入れておけば、米国内に居てもインターネットバンキングで米ドルへの両替が可能で、直接ATMで引き出せるという点です。

手数料も1ドルあたり1円の手数料なのでそこまで大きくはないと思いますし、期間によってはキャンペーンでその手数料がかからないこともあるので、そこも良いのではないかと思います。


ただし、こちらに来てからのお金の管理、特に家賃や子どもの学費の支払いなどにはもちろん米国内での銀行口座開設が必須ですので、これは渡米後に行わなければならないことになります。




少し長くなりましたので、続きは次回に。

 

前回記事の続きになります。


・DS-2019 発送から到着

さて、いよいよ留学先の事務からDS-2019の書類を送るよ、との連絡が来たのですが、今までの経緯もあるため安心してはいけません。


送るとの返事が来ても、本当に送られているのか不明なため、まずtracking numberを送るように依頼し、その番号を送ってもらいましたが、運送業者のHPで番号を調べても一向に送られた形跡はありませんでした。
その状態が3日ほど続いたため、tracking numberが間違っていないか再度メールしました。
するとその翌日にようやくtracking numberの追跡が可能になりました。

(ほぼ間違いなく、私のメールが送られてから発送されたんじゃないのか?と思いつつも)送ってくれてありがとう、とメールし無事に手元に到着しました。

やはり相手をアテにしてはいけないし、何度でも言うべきだなと強く実感しました。



・大使館 (領事館)での面談予約

DS-2019が来たらすることとしては、米国大使館のHPに書かれている通りなのですが、この中で最も時間が取られてしまう、つまり律速段階になるものは 面談日時の決定だと思います。

私の場合、予約を取ろうとしてHPにアクセスして確認したところ、面談の一番早い日時でも1ヶ月後になってしまっていましたので、直接メールを送り、緊急面接という形で時間を早めてもらいました。


また、このHPにかかれている申請書類
・ オンライン申請書 DS-160
・ 有効期限のあるパスポートと古いパスポート
・ 証明写真 1枚
・ 面談予約確認書
・ DS-2019
・ I-901 SEVIS確認書

の中で、DS-160 の作成はかなり面倒でしたので、作成する際は少し気をつけたほうがいいかもしれません。
特に、DS-160 作成の際に これまでの米国渡航歴をチェックする必要があることと、家族や親戚以外に知り合い2名の名前と連絡先が必要になることには注意です。 
ですので、職場の同僚や上司など、名前を記入する人には事前に伝えておく方が良いと思います。
(ちなみにこれはJ-2 (J-1配偶者や子供) visaでは不要です)
もう1点のDS-160作成時の注意点は、インターネット環境の悪いところで作成するとすぐにエラーが出てデータの入力が最初からになってしまう点です。

これを避けるためにも、最初に入力する番号 (識別番号)を必ずメモし、適宜saveして入力することが良いと思います。

次に、証明写真についてですが、これも意外と面倒です。
米国ビザの場合、背景が白で、かつ5cm*5cmサイズで、など制約があります。
これも事前に準備しておく方が良いと思います。
特に小さなお子様のおられる方の場合、子どもの写真を撮るのは難しいと思います。私の場合は写真館にお願いして撮影してもらいました。(私と妻の分は、節約のため証明写真の機械で安く済ませました)
また、生写真とデジタル写真の両方が必要になりますが、私は生写真をスキャンしてデジタル写真として使用しました (使用可能でした)。


その他の書類として、婚姻証明のために戸籍謄本とその英訳書類を提出しました。
英訳については、様々なホームページでそのテンプレートが記載されていますので、ご参考にしてみて下さい。


ちなみに、SEVISの支払いやビザ面談の料金支払いだけで家族全員で70,000円分ぐらい飛んだ記憶があります。結局何でも世の中はお金で…という気分になりました。



最後に、DS-2019について一番大事な (だと私自身が思っている)ことは、
DS-2019の原本の1番下の欄にサインすることです!!
これを忘れてしまうと、面談当日に跳ね返されてしまう(らしい)ので、本当に注意が必要です。
(※ 子どもの分は代筆でOKでした)


少し長くなりましたので、続きは次回に。

 

前回記事 (留学開始までの苦難1 -担当者と連絡つかず編-)の続きになります。


前回記事でも書いたとおり、担当者と連絡がつかずDS-2019の発行まで1ヶ月半ほどかかってしまったため、渡米時期も遅らさざるを得ない状況になってしまいました。 

つまり、
(私の場合、大学院を修了したあと5月末までは大学病院で勤務していましたので)
5月末で契約は終了し、6月から渡米するまでの約1ヶ月半は完全なフリーターになってしまった訳です。

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ここでどうするか悩みました。
家も賃貸で5月末で引き払ってしまったので、妻の実家に居候させてもらうことになり、本当に困ってしまったのです。

ビザが下りるまで1ヶ月ぐらい家族で旅行しまくって、楽しむことも考えましたが、
渡米してから家族と旅行するためのお金を貯めるほうが先決だと考え、とりあえず(今話題の)フリーランス医師として職場を探すことにしました。

まず、大学院生の頃からバイトしていたところの院長に頼み込み、ほぼ全例の整形外科手術に入らせてもらうことで収入を得ることにしました。
(この時に脊椎の症例にも前立ちで入らせてもらったのは本当に助かりました)
また、医局から派遣してもらっていた外来バイトも週1のみ継続させてもらうことに。
こういう時に働き先を提供してもらえたのは本当にありがたかったと思っています。



とはいえ、5月までと比べると圧倒的に時間があるので、以下のことをこの期間にこなしました。


・ ラジオ英会話、モゴモゴバスター
・ 論文と教科書をひたすら読む (特に留学先のボスの論文やarticle)
・ 育児 (特に平日子どもと遊ぶ、など)

ラジオ英会話は、ご存知の通りNHKラジオでやっているものですが、今ではアプリで1週間分をまるまる聴講することが出来ます。また、聞き逃してもiTunesでオーディオブックも販売しているので、継続して勉強することができます。それになにせ安価で良質の教材です!
一回15分というのも非常にいいですね。




次に、モゴモゴバスターですが、これは英語特有の省エネ発音に慣れるための教材で、下記サイトで販売されているものです。


ページ自体は少々胡散臭い感じはありますが (失礼...)、教材はとても良く、ネイティブが話すような早いスピードで耳がついていけるような感覚があります。
サンプルもついているので、もし気になる方は一度聞いてみて購入を検討されてはいかがでしょうか?

私は上記2つの教材を5月末から渡米後も続けています。


論文については、これまで読んでいましたが体系だって読んでおらず、かつ文献をまとめる作業もしていませんでしたので、この機会にと思いEndnoteを使用してまとめるようにしました。






今から考えると、このモラトリアムの期間があることで
自分の事を見直す事ができ、かつ家族との時間も確保できたのは逆に良かったかなと思っています。
ケガの功名と考え、前向きに考えるようにしています。笑


ということをしているうちに、留学先からいよいよDS-2019が送られてきました。

続きは次回に。



前回記事の続きになります。

今回は、 前回の記事と並行して、留学先に提出した書類のうち、早めの準備をして取り掛かったほうが良い書類などについて書きたいと思います。

というのも、留学先からは色々な書類の提出を求められるのですが、実際には結構時間のかかるものもあったりします。ですので、 備忘録も兼ねて書いておきたいと思います。


結論から書くと、特に以下の書類になります。



1. 学位記, 卒業証明書 (英文)
2. 英文履歴書 (CV)
3. 語学力の証明書類 (TOEFL, IELTSなど)
4. 銀行の残高証明書、もしくは奨学金機関からのaward letter
5. 旅行者保険 (特に、受入先機関が保険条件などを設定している場合が多いので、それに合致する保険かどうかの確認が必要)

6. 子どものパスポート (特に、これまで持っていない場合) 


一つずつ見ていきます。





1. 学位記, 卒業証明書 (英文)

私は卒業した大学と同じ大学の大学院に居たのですぐに取得することができましたが、大学によっては取り寄せるまで時間がかかったりする場合が多いかと思います。
ですので、留学を決めている時点で早めに取り寄せておくほうが無難だと思います。


2. 英文履歴書 (CV)

これはもちろん手元にあるものなのですが、アップデートをしっかりしておくことが大事だと思います。
以前にCVの書き方についてまとめた記事やnoteを書いていますので、そちらも参考にしてみて下さい。









3. 語学力の証明書類 (TOEFL, IELTSなど)

すべての大学や機関で求められるわけではありませんが、私の留学先では求められました。
また、2015年以降、J-1ビザ取得に必要なDS-2019の発行条件として英語力についても求められるようになっているようですので、事前に受験してそれなりによい結果を残す必要がありそうです。

また、試験を受けてから結果が発送されるまで時間が1-2週間はかかることが多いですので、そこも時間を見ておいたほうが良いかと思います。



4. 銀行の残高証明書、もしくは奨学金機関からのaward letter

自身の預金があることの証明に必要なもので、英文での提出を求められます。
私の場合は銀行の残高証明書を提出しましたが、銀行に依頼してから1週間近くはかかってしまいますので、これも事前に準備しておくほうが良いと思います。


5. 旅行者保険 (特に、受入先機関が保険条件などを設定している場合が多いので、それに合致する保険かどうかの確認が必要)

特にこれは保険のカバーする範囲がどうかを確認することが重要になります。
現在様々な保険会社が留学生向けの保険を販売していますが、中にはそれでは不十分なものもありえますので、目を通す必要があります。
私の場合、少し金額は高くなりますが、こういった内容をしっかりチェックしてもらえる所で相談しました。下記にリンクを貼りますので是非ご参考にしてみて下さい。



 

6. 子どものパスポート (特に、これまで持っていない場合) 

これは家族で留学する場合のみですが、パスポートの申請は平日しか出来ないところが多いですし、しかも時間がかかったり、発行まで1週間かかったりしますので、余裕を見て申請を行うべきだと思います。
また、留学期間に自身のパスポートがきれてしまう場合も、更新しておくほうが無難だと思いますので、その場合も早め早めに動くことが肝心だと思います。
(※パスポートの有効期限が1年以内の場合、更新が可能です)



補足.
いずれの書類についても、留学先にはスキャンしてPDFファイルで送ることが基本的な作業になります。
(DS-2019だけは原本が必要ですので、留学先から送ってもらう必要があります)
また、その他に必要な書類についても、基本的にはPDFファイルでやり取りすることがほとんどです。
したがって、スキャナーを使う機会が非常に多くなります。
(この点については、大谷先生のご著書でも指摘があり、まさにそのとおりだと思います)


私は、Scansnapのix100というものを使用していますが、軽く持ち運びも楽で
スキャンするスピードも早く、こちらに来てからもヘビロテしていますので非常にオススメです。

 






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まとめ

留学時に、早めの準備をして取り掛かったほうが良いペーパーワークについてまとめました。

今後留学をされる先生方に、少しでも参考になれば幸いです。


 

ご無沙汰しております。更新が滞っておりますが、元気にやっています。
ブログを更新していない間も日々頑張っています。


今回は、実際に留学するまでに苦しんだ事や、 直前の準備として行っていた事などを書いていきたいと思います。


まず結論から話すと、
当初留学は6月からの予定でしたが、実際に渡米し研究を開始できたのは7月末でした…


なぜここまで遅れてしまったのか、そしてどうすればよかったのか、について考えてみたいと思います。


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私は6月から留学する予定でしたので、留学先の担当者とは今年の年明けから連絡を取り始めていました。

当初はやり取りにそれほどの問題はなく、まず先方からビザを得るために必要な書類、特に私は J-1ビザ (交流訪問者ビザ) での留学を予定していましたので、
J-1ビザ取得に必須で、かつ受入先機関から発行される DS-2019という書類の取得のために連絡を取っていました。

(※このあたりの解説につきましては、大谷先生の書かれた下記の本にとてもわかり易く記載されていますので、是非御覧ください。また、ビザの種類や取得方法については、その下の本もとてもわかりやすいかと思います。是非参考にしてみて下さい。)


 




DS-2019の発行までは、だいたい2〜3ヶ月はかかると前任の先生や他の研究留学中の先生方からも教えてもらっていましたので、出来るだけ早く動くようにはしていました。

しかし、3月に必要書類を先方に送って以降、突然連絡が来なくなりました。
これはおかしいと思い、1週間後に再度必要書類を送るもメールでの連絡はナシ。
(ちなみに、そのメールには別の担当者の記載もあったので、CCにして送っていたのですが、その別の担当者からも連絡はありませんでした。)

前任の先生にお願いして、別のルートからどうなっているか聞いてもらったところ、
その担当者は既に退職しており、さらに他の担当者への引き継ぎも全くなされていない事が判明…

さらに、CCで送っていた別の担当者もともに退職しており、当然のように引き継ぎはナシ。

さらにさらに、当初テレビ電話で面談を受けたリサーチコーディネーターが居たのですが、そのコーディネーターに連絡するも、このコーディネーターも退職しており連絡が取れず。


私の中で完全に手詰まりになってしまいましたが、最終手段だと思い、
失礼覚悟でボスに直接メールを送り、別のコーディネーターを紹介してもらう事に。
そこからは話がトントンと進んでいったものの、結局引き継ぎがされていなかった為にまた1から書類を作り直し、結局1ヶ月半ぐらい時間をロスしてしまいました…


私自身の中での反省点としては、連絡が取れなくなった時点でボスに直接連絡するというカードを早めに切っていればよかったのかとも思いましたが、今考えてみてもやはり難しいような気もします。


それよりも、私は今年の年明け、つまり約半年前から動きましたが、
もっと早く書類の準備をして取り掛かったほうが良かったのではないか、
と思っています。

ただ、実はこの遅れた(私の中では一方的に留学先が悪いと思っていますが...)という事によって
逆に良かったこともありました。これについてはまた後日に書きたいと思います。


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まとめ


私の留学まで、特にDS-2019を取得するまでの苦難について書きました。

一つ言える事としては、留学が決まれば少しでも早く先方と連絡を取ってDS-2019、そしてビザを取得する!ということが最も重要だと思います。



続きは、次回に〜

 

前回記事の続きになります。


【※ 前提として、頚椎の理想的な矢状面アライメントというのはよくわかっておらず、まだコンセンサスが得られていない部分が多くあります。ですので、今後その考え方や手術戦略も大きく変化する可能性はあります。】

頚椎の矢状面アライメントを考える上で、大きく4つに分けて考えてみたいと思います。


1) 頭位と水平視
2) 上位頚椎アライメント
3) 中下位頚椎アライメント
4) 胸腰椎アライメントと頚椎アライメントとの関連



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1) 頭位と水平視

まず、腰椎のそれと比較した場合の頚椎の矢状面アライメントが重要な理由として、ヒトの生活動作を考えると


立位において視線を維持する


という点が重視されます。眼球の可動域は加齢に伴い減少することが知られていて、60歳以降だと
上方視:30度、下方視:75度 程度になると言われています。
(Clark RA, et al. J AAPOS 2001)

ですので、眼球の上方視を超える30−40度以上の前屈位 (drop head)になってしまうと、水平視が困難になってしまいます。

一方で、高齢者は歩行能力の低下に伴って(視覚での代償のため) 下を見ながら歩く傾向がありますので (Yamada M, et al. Arch Gerontol Geriatr 2012)、頚椎のアライメントを矯正する場合には下方視についての配慮も必要になってきます。
眼球の下方視の可動域が75度程度と考えると、頚椎の屈曲によって15度以上の下方視が可能であれば、下を向くことが可能と考えられます。



この水平視の基準となるパラメータとしては、

chin-brow vertical angle (CBVA)McGregor's slope (McGS) があります。

CBVA and McGS
(Lafage R, et al. Neurosurgery 2016.より抜粋)

A) chin-brow vertical angle (CBVA)

CBVAは、前額部と顎を結んだ line と地面の垂線とのなす角をさします。
Ankylosing spondylosis を有する患者におけるCBVAの矯正角度は、過去の報告では -10度から10度 (正は下向き、負は上向き)と言われており、水平視を定める上で最も重要なパラメータと考えられています。
 (Suk KS, et al. Spine 2003.)


B)  McGregor's slope (McGS)

McGSは、McGregor 線 (硬口蓋から後頭骨下縁に引いた線)と水平線とのなす角を指します。
Lafageらの報告では、CBVAとMcGSは強い正の相関をもち、平均値はCBVAが0.7 ± 8.1°, McGSが-0.9 ± 8.4°であったそうです。同論文での推奨値は、CBVAで-4.8° 〜 17.7° (正の値が下向き)、McGSが -5.8° 〜 14.4° (正の値が下向き)としています。
 (Lafage R, et al. Neurosurgery 2016.)



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2) 上位頚椎アライメント

C1-C2は解剖学的に頚椎の中で最も回旋可動域が大きく、それだけではなく前後屈においても重要な役割を果たしています。その中での重要な指標としては、O-C2角が知られています。
O-C2角は、McGregor 線とC2椎体終板を結ぶ線とのなす角を指します。

Ota-2011
(Ota M, et al. Spine 2011.より抜粋)


O-C2角の正常値は、Otaらの報告によると、健常人の中間位 (水平視)で15.6 ± 6.7° となっていますが、機能撮影でも値は大きく変化し、また健常人でも-5° 〜 35°とばらつきが大きくなります。
(Ota M, et al. Spine 2011.)
 


これらから、頚椎後弯症などの頚椎sagittal imbalanceの矯正手術を行う場合、目安となるO-C2角は約15-16°と考えて良いかと思われます。さらに、前述したMcGSの目標値も考慮すると、

McGS + O-C2 角 = C2椎体終板と水平線とのなす角 = C2 slope

が およそ15°となるようにする事が目標になるのではないかと思います。 


  
長くなりましたので、続きは次回に。

 

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