一人前の脊椎外科医を目指して

医師9年目の整形外科医が、一人前の整形外科医・脊椎外科医を目指すブログです。 研究留学・論文・資産形成・備忘録などを載せていきたいと思います。 現在は大学院に在学しており、大学院では脊椎外科と生体材料を専門に日々研究しています。

・はじめに

2019年はじまって、すでにバイト当直の修行をしております。
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ただ当直といっても いわゆる「寝当直」で、めちゃくちゃ忙しい

こともなく、救急外来で10数人ほど、あとは滅多にありませんが

病棟管理がお仕事になります。

(当記事も、当直をしながら書いております ^^;)


当直時は、いつも

「◯◯の仕事をしよう!」

とか、

「△△の本を読破しよう!」

と意気込み、大量の荷物を持ち込んで当直先に乗り込む訳ですが、

結局テレビを見たりネットサーフィンをしたりで

思った作業ができず、無為に過ごしてしまう事が多いです。


そこで今回は、

「穏やかな当直をどうやって過ごすべきか」

について考えてみたいと思います (…駄ネタかも知れません)。





・当直で仕事をどこまでこなせるか?!

上記に書いた通り、当初はいかに当直先で仕事をこなせるかを

していましたが、どうも集中力が持ちません…


ちょこちょこと外来に呼ばれてしまうのもありますし、

テレビなどの誘惑に負けてしまうというのもあります。


ということもあって、僕は

出来る仕事は最低限にして、後はいかにして疲れを溜めないか

を重要視しています。


例えば、英語の教材ならそれだけ、とか

論文を書くとしても、あまりノルマは課さずに出来るところまで

という設定にしています。



・当直先での疲れを溜めないためにできること

では、その方法には何があるのか、ですが


① マイまくら持参 (荷物に余裕があれば)

② 加湿器使用、アイマスク着用

③ (特に冬場)ヴェポラップ使用

④ 湿布持参 (適応外使用)

⑤ 筋肉体操 


という方法を具体的に実践しています。 







① マイまくら持参 (荷物に余裕があれば)

当直先のベッドが僕は苦手です。

いつもと違うせいか寝付きが悪く、 目覚めも悪いです。

(もちろん、電話で起きることもありますが…)

極力スッと寝るために、自宅の枕を持っていっています。

もちろん荷物がかさばるので、荷物に余裕がある時に限りますが。

なお僕は車を持っていないので、圧縮袋で圧縮して持って行った事もあります。笑


でも枕をナメてはいけません。枕がいつものというだけで、

安心感が強く、僕の場合寝付きが良くなったのです ^^




② 加湿器使用、アイマスク着用

当直室は乾燥することが多く、それが寝付けない原因になることが多いです。

寝付けないと、ついついパソコンやスマートフォンを触ってしまいがちになります。

それがまた寝付きを悪くする要因になり、悪循環になってしまいます。


僕の行く病院の当直室には幸い加湿空気清浄器が置いてあります

ので、それをフル活用しつつ、寝る際には

マスクを装着し、アイマスクも着用して完全に電源OFF状態を作っています。


アイマスクをつけることで、余計な光を見なくて済みます。

本当は耳栓もしたいですが、それをすると電話まで無視してしまいそうなので

さすがにしていません(本当は無視したいところですが)




③ (特に冬場)ヴェポラップ使用

これは意外とオススメしたい方法です。

当直室は乾燥することが多い為か、僕の場合よく鼻が詰まって目覚めてしまいます。

それを予防するために、僕はヴェポラップを使っています。





風邪気味になると我が家ではみんなヴェポラップを使うのですが、

当直中にもそれを使うことで鼻づまりを改善し、

スッと寝付くための介助としています。

オススメの使用方法は、塗った後にタオルを首に巻いて寝ることと、

ヴェポラップは首や胸だけじゃなくて肩甲部にも塗ることです。


問題点としては、独特のヴェポラップ臭がする事ぐらいでしょうか ^^;




④ 湿布持参 (適応外使用)

当直室のベッドで寝ると、ベッドが違うせいか朝起きると首周りの筋肉が

ガチガチになっています。これも寝付きを悪くする要因だと思います。

それを予防するために、事前に湿布を肩甲部中心に貼付して寝ています。


ただし独特の冷感があるので、それで寝付けない先生は控えるほうが

いいかも知れません。僕の場合は、貼って寝る方がよく寝付けました。




⑤ 筋肉体操

寝当直で寝付けない他の要因として、根本的に

「動いていない」

ことが挙げられます。つまり、ある程度疲れないといけません。

そのために、最近流行りの「筋肉体操」 のYoutubeを見ながら

筋トレをするのがオススメです。










特に、スクワット腕立て伏せでパンプアップさせれば

十分な負荷が与えられると思います。


筋肉は裏切らない! 




・まとめ

寝当直で疲れを溜めずに過ごすための方法を考察してみました。

僕は目下48時間当直の2日目ですが、上記の方法は当然今晩も実践します。


皆さまも 充実した寝当直ライフ をお過ごしください ^^



 

皆さま、明けましておめでとうございます!

本年も当ブログを何卒宜しくお願い致します。


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昨年はなかなかブログの更新もできず、申し訳ありません。 


大学院もあと3ヶ月で修了なのですが、

先日ブログでもお伝えしたような学位審査への準備や、留学準備

などで慌ただしく過ごしております。

(学位審査の届け出は間に合いました ^^)


ちなみに、例のごとく当直しながらブログ書いてます。笑

年始から48時間ほどぶっ通しで当直をしておりますが、

私にとって今年は何と言っても

「臨床研究留学」 

という最大の目標がありますので、

それに向けて種銭を稼いでおります。。。


 
なお、今年は自分にとっても医師10年目の節目に当たります。


医学部を卒業し、研修医になった際に

お世話になった指導医からは、

5年後の医師としてどうなりたいかを考えて行動しなさい」

と事あるごとに言われていました。


研修医になったときには あまりその意味が分かっていなかったのですが、

卒後5年目ごろから徐々に意識するようになっていました。

(過去ブログ :大学院ってどうなの?(1))


卒後5年目に, 10年目には学位取得と留学(脊椎外科として)を考えていたので

その目標はある程度叶うのかな、と考えています。


ただ、留学は 行く記念だけでは全く意味がない、ただの道楽だと

思っていますので、

英語の壁・人種の壁を乗り越えて、多くの方にとって役立つ業績を

残してきたいと思います。


そして、自分の5年後の理想像についても、今後考えていきます。






あらためて、今年の目標は


① 学位取得
② 留学先での奮闘
③ 筋力維持・健康増進
④ ブログの充実


この4点をがんばります!

どれも漠然としていますが、それぞれ具体的な目標は考えています。笑 



改めて、本年も当ブログを宜しくお願いいたします。


 


急に冬らしい寒さがやってきていますね。



毎年そうですが、年末は行事も実験も多く、いつも

何かに終われながら過ごす事が多い気がします。


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そして、今年もまた同様の展開に・・・



ちなみに私は現在大学院4年目になりますので、 3月で修了となります。


一般に大学院は「卒業」とは言わず、

在学中に学位論文の審査に合格して初めて

「学位取得」
となり、いわゆる「卒業」に該当します。




もし今年度までに学位取得が出来ない、つまり

学位論文が提出できない場合や学位審査に合格できない場合、

「(課程修了)満期退学」となります。

 
(※もちろん大学院を修了した後も、大学院が定める一定期間

(当大学では3年)以内に学位論文を提出し、学位審査に合格

した場合には、博士号を取得することが出来ます)




私の場合は6月から渡米が控えていますので、出来れば

大学院在籍中に学位審査を受けたいところです。


そして、その肝心要の「学位論文」をジャーナルに投稿したのが

今年の7月末で、論文の修正 (リバイズ)の期間や学位審査の今年度の

締切などを考えると、本当にギリギリのタイミングでした。

(しかも、調子に乗ってインパクトファクターの少し高い所に出してしまいました)



…正直、内心は在籍中の学位は難しいんじゃないかと思って

諦めかけていました .



しかし、論文の修正・投稿を根気強く、そして出来るだけ早く行った結果、

なんと3日前にアクセプトされました (^^) 



そして、学位審査の今年度の締切り (つまり、3月末での学位取得可能期限)が

来週月曜日!!!まさにギリギリ!



ということで、アクセプトを喜ぶ間もなく、学位審査に応募するための

書類作成、ならびに指導医・共著者の先生方や教授の署名集めに奔走中です。



書類作成、本当に面倒で時間のかかる作業なのですが、せっかくここまで

来ましたので、今年度中の取得を目指して、とにかくやるだけです!




・・・やはり今年も、仕事に終われながら過ごす年末になりそうですね。



 

以前、外勤先に向かう通勤電車の中で、多くの中高生が

バックパックのベルトを緩めて持っており、それを見て

"腰を痛めそうだな・・・"と内心で思っておりました。

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そこで 今回は、バックパックはやはり腰に悪影響を及ぼすのか

について、文献的に調べてみました。






1. 小児における腰痛とバックパックとの関連


小学生から中学生 (具体的には11から14歳)における腰痛の発生率は,

およそ3割前後と言われているようです。(Watson KD, et al. Pain 2002.)



児童の腰痛のリスクとしては、過去の報告だと、

女児・健康状態の悪化・身体活動レベルが高いこと・

座る時間が長いこと・腰痛の家族歴

そして、バックパック が挙げられています。(Mackenzie WG, et al. CORR 2003)


子どものバックパックの重さは、自分の体重を基準にして考えると

アメリカでは92%以上の児童が10〜22%の重さのバックパックを持っており、

腰痛のある児童のうち82%はバックパックを使っていた!

という報告もあるようです。(Sheir-Neiss GI, et al. Spine 2003)



Neushwander らは, 立位で撮影できるMRIを使用して、特に腰痛のない

11-14歳の子どもたちを集め、撮影したところ、

バックパックの負荷(重さ)と、痛みの強さが相関関係にあったこと、

そして、その痛みの原因は、

腰椎椎間板が負荷により高さが減弱し 、

負荷により非対称性に椎間板に負荷がかかること

によると報告しています。(Neuschwander TB, et al. Spine 2010.)



さらにShymonらは、その正常データと特発性腰痛 (明らかな器質的原因の

ない腰痛) をもつ子どもたちとで立位MRIで比較したところ、

腰痛を有する子どもたちではL5/S1椎間板にのみ圧縮力がかかっていましたが、

正常の子どもたちよりも椎間板に対する圧縮力は少ない分、

腰椎前弯が失われ


バックパック負荷増大による痛みがより強くなる傾向があったということです。 
(Shymon SJ, et al. Spine 2014.)


痛みを有する子どもたちでは、バックパック負荷に対して椎間板への負荷を避ける

ために、腰椎前弯を減弱させることなどで対応している
と考察しています。 




やはり、小児におけるバックパックは腰痛への負荷は避けられないようです。



最近では、小学校などの"置き勉"なども問題になっていましたが、

できるだけ小児に対してはバックパックの負荷を減らすのが重要かも知れません。





 2. 成人におけるバックパックと腰痛の関連
 
ここまでは、小児について文献的に見ていきましたが、

では成人ではどうなのでしょうか?


上記でご紹介したShymonらは、成人でも立位MRIを撮影し、

バックパック負荷による影響を調査しています。(Shymon SJ, et al. Eur Spine J. 2014.)


この論文によると、 6人の成人ボランティア (平均年齢 45歳)が体重の10%に

あたる重量の バックパックを着用した上でMRIを撮影しています。


その結果、バックパック着用により、仰向けと比較して、

L4/5とL5/Sの中央部の椎間高が有意に減弱し、

L5/S1 椎間板では前方の高さも減弱していましたが、

腰部の長さや腰椎前弯は仰向け時と比較しても有意差はなかった

という結果でした。


面白いのは、バックパックでは特に椎間板前方の圧縮が出てくるという点と、

(やはり)下位腰椎部での椎間板レベルに負荷は最もかかりやすいという点

かなと思いました。



 
さらに、この結果をFEA (有限要素解析)を用いて研究しているstudyもあります。
(Hansraj KK, et al. Surg Technol Int. 2018.)


これによると、成人男性のデータを用いてシミュレーションstudyを行ったところ、

追加重量として 0.45〜45.36 kg (1〜100ポンド)をかけていますが、

脊椎にかかる荷重は、その重量の7.2倍にもなっており、

骨盤を20度前傾させて腰椎を前方に引き出したようなシミュレーションでは

その荷重は、重量の11.6倍に上昇したということです。 




いかにバックパックの荷重が腰椎負荷を上げてしまうかが分かるかと思います。


ただ、成人では筋力や椎間板の耐荷重も小児よりは大きいと考えられる為、

腰椎前弯はバックパック負荷でもほとんど変わらない点は初めて知りました。





 

前回記事の続きです。


前回記事では、矢状断での立位アライメントを評価するための指標として、

患者さんの主観評価 (ODI)との相関を参考にしたパラメータとして、


PT, SVA, PI-LL mismatch


という3つのパラメータがある事を書きました。



そして Schwabらは, その相関を確認した上で、

成人脊柱変形を評価するための分類 (SRS-Schwab分類)を作成し、

それらが、治療に直結した分類であることを示しています。
(Schwab FJ, et al. Spine 2012)

 

ここで、まず、加齢によって脊椎の矢状断アライメントは

どのように変化していくのかを考えたいと思います。

加齢により、まず筋骨格系や感覚神経系の変化が出現します。

(圧迫骨折は、少し状況が変わりますので省きます)

すると、

・筋肉の萎縮

・姿勢維持機能の低下

とともに、

腰椎前弯の低下 ( = LL減少)
   ↓
骨盤の後傾 ( = PT増加)
   ↓
体を起こそうとして、股関節が伸展
(前が突っ張ったような状態になる)
   ↓
さらに、膝関節は屈曲
 
という変化が起こっていきます。 
また、胸椎後弯も増加するようになります。


Lafageらは、年齢に基づいてこれらのパラメーターの閾値を定義した結果、

高齢者になればなるほど正常値でも代償機構が大きくなると報告しています。

つまり、正常人でもLLは減少し、骨盤後傾が大きくなる傾向にあります。
(Lafage R, et al. Spine 2016)


また、AIS(思春期特発性側弯症)では年齢の他に人種による差もある、

という報告もあります。(Lonner BS, et al. Spine 2010)



近年, SVAに変わる他のパラメータとして、

T1 pelvic angle (TPA)


注目されています。(Protopsalis, et al. JBJS(Am) 2014)

 Spinal_deformityに関するreview_Neurosurg__pdf(3___16ページ)
(Protopsalis, et al. JBJS(Am) 2014.より引用)


SVAとPTは相互に影響がある事がわかっており, さらに、

この2つのパラメータは、LL減少に伴う代償機構によっても

影響を受けてしまいます。


このTPAは、脊椎全体の矢状面バランスと骨盤後傾(PT)とを同時に考慮できる

ことによって、単一の尺度で測定可能であるということ、また、

SVAやPTよりも立位による代償機構の影響を受けにくい、と言われており、

つまり、立位でなくても評価可能である、という点で有用になります。
(Protopsalis, et al. JBJS(Am) 2014)



しかし、TPAは上図のように "PT" と "T1SPi" との和になっていますので、

同じTPAの値を取ったとしても、PTの値の大小によって骨盤代償の負荷が異なる

事になりますので、その点の解釈には注意が必要です。




また、当然ながら人間が立位姿勢をちゃんと保持するためには、

上記の脊椎〜骨盤での代償機構の他に、股関節・膝関節・足関節の状態も

関係してきいます。


近年では、脊椎・骨盤にとどまらず、下肢の代償機構についても

議論がなされています。



そこで出てきたのが、GSA (Global sagittal axis)という指標です。
(Diego BG, et al. J Neurosurg Spine 2016.)


Spinal_deformityに関するreview_Neurosurg__pdf(3___16ページ)
(Diego BG, et al. J Neurosurg Spine 2016.より引用)


足部から頭部までの全体の側面レントゲン像(立位)を撮影し、

GSAが 脊椎骨盤パラメータ下肢の矢状面パラメータ、そして

健康関連QOLのスコアと相関関係にあることを報告しています。



さらにFerreroらは、この全身における矢状面の変形の評価を、336名の

脊柱変形を有する患者で調査し、全身の矢状面パラメータとの関連を見たところ

下肢角, 骨盤シフトとODI(健康関連QOLの一つ)との間に相関関係がある事を

報告しています。(下肢角と骨盤シフトは以下のFigureの角になります)
(Ferrero E, et al. J Neurosurg Spine 2016.) 


Spinal_deformityに関するreview_Neurosurg__pdf(3___16ページ)
(Ferrero E, et al. J Neurosurg Spine 2016.より引用)



成人脊柱変形の手術を行う際には、ここまで評価を行うべきだというのが、

現時点でのコンセンサスになりつつあります。 



おそらくかなり難解だと思うのですが、一つ一つ紐解いて考えてみると、 

そこまで突拍子のないことではなく、当たり前のことなんだろうと思います。


立位の姿勢 (特に頭が骨盤の下に来る安定した姿勢)を取るためには、

脊椎だけではなく、下肢の代償機構も評価しないといけない

という事です。



次は、矢状面バランスから見た頚椎の理想的なアライメントについて

考えてみたいと思います。


お読み頂き有難うございました。
 


 

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