一人前の脊椎外科医を目指して

医師9年目の整形外科医が、一人前の整形外科医・脊椎外科医を目指すブログです。 研究留学・論文・資産形成・備忘録などを載せていきたいと思います。 現在は大学院に在学しており、大学院では脊椎外科と生体材料を専門に日々研究しています。

以前の記事で紹介させて頂いた、AO Spine Japan fellowship program

ですが、先日AO Spineの事務局からメールがあり、無事に選出して頂きました。



もとは と言えば、留学予定先のresearch coorinatorから


「 Grantを取ってくることが強く望まれる」


と言われた事がきっかけで (以前の記事をご参照ください)、かつ、

この留学についても、先方でのselectionを経て選ばれるという不確かな事でした

ので、私のこのfellowshipの応募目的としては


1) もし留学先から留学を却下されたとしても、短期留学で学びに行くことができる


2) 留学が本決定したとしても、AO Spine fellowshipは "stipend" と呼ばれる

支給があるため、 これに選ばれる = 一種のgrant を取ったことと同価値がある

という事がありました。 



実際には、 幸いにして1年間の留学も行ける予定となり、今回のAO Spine fellowshipも

選んで頂けたので、2) を達成することが出来たことになります。


(※なお、留学先から短期留学するというヤヤコシイことになるのですが、

これはAO Spine事務局に事前に問い合わせたところ、問題ないという返事でした)




これで、留学先にも grant (stipend) を取ったという事実を掲げて行くことが

できそうです。 


ただ、stipendは本当に補助金でそれほど大きい金額でもありませんので、

自身の研究のこれまでの成果とこれからの予定をアピールして、

他の留学助成財団への応募はしていきたいと思っています。

 
 

また、 今回のAO Spine fellowship programや留学先へ提出した私のCV (英文履歴書)

について、プライバシーに関わる部分は修正し、その書き方について解説を加えたものを

noteにアップロード致しました。


有料にはなりますが、ご興味のある方、また留学を今後考えておられる方は

是非ご購入して頂ければ嬉しく思います。宜しくお願い致します。



 

ブログ更新が少し滞ってしまいました。

今回は、 いわゆる高齢者の「背骨の変形」、僕らの専門用語で言うところの

「成人脊柱変形」 

 について、(自分の知識の整理も兼ねて)まとめてみたいと思います。
 


成人脊柱変形は、脊椎外科領域では最近のトピックの1つになっています。

特にこの10数年で様々な事が明らかになり、特に

治療(手術)成績を上げるための工夫が進歩しています。



歴史的には、成人脊柱変形 (Adult spinal deformity: ASD) の診断とフォローについては

冠状断、つまり正面から見た時の変形の評価が重要視されていました。

いわゆる「側弯症」というものです。


しかし、近年では矢状断、つまり横から見た時の変形の評価が非常に重要になっています。
(Schwab FJ, et al. Spine 2013, Glassman SD, et al. Spine 2005.)


おそらく最初の報告は、2005年にGlassmanらがSpineに報告した論文で、

そこで全体の矢状断アライメント (Global sagittal alignment; GSA) の

重要性が初めて提唱され、 以降、特に骨盤パラメータがその評価に重要である

ということが分かってきました。
(Schwab FJ, et al. Spine 2013, Smith JS, et al. Spine 2012, Lafage V, et al. Spine 2009)
 


その中でも、鍵となるパラメータは、

1. Pelvic Incidence (PI)
  骨盤形態の測定値で、その個人でほぼ同一の値を取る
  個人の理想的な腰椎前弯 (LL)は、この値をもとに決定される

  大腿骨頭と仙骨上縁の中点を結んだ線 (線分oa)と、
  仙骨上縁の中点から引いた、仙骨上縁のラインに対する垂線
  (線a)とのなす角を指します。


2. Pelvic Tilt (PT)
  代償性の骨盤の後弯を反映する値

  大腿骨頭から引いた、地面に対する垂線(VRL)と、
  線分oaとのなす角を指します。


となります (次の図参照)。

SDSG-radiographic-measuremnt-manual_pdf(107___120ページ)
(Spinal deformity study group; Radiographic measurement manualより抜粋)


安定した立位を保持するためには、腰椎前弯が保たれていることが大事
ですが、腰椎前弯が消失した場合、全体に体が前方に倒れてしまうため、
その姿勢を代償するために、骨盤が後傾することで保とうとします。

その代償の程度を探る指標として、これらのパラメータが注目された

ということです。


Schwabらは、492人のASD患者を対象に、

健康関連QOL (ODI) と、脊椎骨盤パラメータとの相関を調査し、

以下の3つのパラメータと相関があることを報告し、それらを基に

SRS-Schwab分類を提唱します。
(Schwab FJ, et al. Spine 2012)


それが、


1. PT

2. SVA (sagittal vertical axis)

3. PI-LL mismatch


です。

なお、SVAは、下図のXの値となります。
SDSG-radiographic-measuremnt-manual_pdf(75___120ページ)
(Spinal deformity study group; Radiographic measurement manualより抜粋)
 
そして、LLは、Lumbar lordosis (腰椎前弯) の略語で、

パラメータで書くと、

第1腰椎の上縁のラインと、第1仙椎の上縁のラインとのなす角

を指すことになります。

20180927_Twente


そして、上述した PI と, LL との関係性として,

無症状の成人においては、

 PI - LL ≦ -9°

という式がほぼ成立することを示しており,
(Schwab FJ, et al. Spine 2012)

ASD患者ではこのミスマッチが起こり、

それが健康関連QOLとの相関がある、ということです。



この論文での報告では、

ODI (0-100点満点で、点数が上がるほど状態が悪い) が 40点以上 (severe disability)

となるパラメータの閾値は、それぞれ


PT ≧ 22°, SVA ≧ 4.7 cm, PI - LL ≧ 11°


となります。これらを基にして、SchwabらはSRS-Schwab分類を作成し、

広く利用されるようになりました。

SRS-Schwab_classification_pdf(2___6ページ)
(Schwab FJ, et al. Spine 2012より抜粋)


なお、この分類は, 評価者間でのばらつきが少なく,
(Schwab FJ, et al. Spine 2012)

手術治療を行うべきか保存療法を行うべきかの決定と相関することが示され,
(Terran J, et al. Neurosurgery 2013.)

そして、術後の成績 (患者立脚型) にも反映されることが示されています.
(Smith JS, et al. Spine 2013.) 

 

次回に続きます。

マニアックな内容ですみません。



 

今回は、ちょっと珍しいテーマを考えます。それは、


歯列矯正


です。



何言ってるんだコイツは??と
思われる方もおられると思いますが、

実は私、2年半前から歯列矯正を行っています。


そして、それが留学にも少なからず影響があるのでは
と思っています。



「なぜ私が歯列矯正を行っているのか?」


…の前に、 今回は、「歯並び」に対する考え方と、
「歯並び」が健康に与える影響について考えたいと思います。




 1. 歯並びに対する考え方


日本人は、あまり歯並びそのものに対して
意識する人は少ないと思います。

それは、日本では明確な意思表示や主張そのものが
否定的に考えられている、というところがあるからではないかと思います。


一方で、アメリカやヨーロッパ諸国では、
明確な意思表示や主張が重要で、曖昧にしていると
コミュニケーションが円滑に出来ないという特徴があります。

そういった文化的な特徴の違いもあり、 
欧米では「歯並び」は非常に重要視され、
リテラシーの高い親ほど、早期から我が子の歯並びを
矯正するという傾向があるようです。

そして、歯並びはもはやエチケットの1つで、
身だしなみや化粧などと同等に扱われている感覚もあるようです。



実際、 NZ出身の英会話の先生と話していた時に、

「肌」「歯並び」「髪の毛」

この3つのうち、ケアする順番に並べたらどうなる?

という話題になり、その先生は

歯並び > 肌 > 髪の毛

と話していました。

オーストラリアやニュージーランドでは、
紫外線の量が多く、皮膚ガンの数も多いはずですが、
そのニュージーランドの方ですら、

歯並びは最も重要なステータスの1つのようです。
(もちろん個人差はあると思います) 


また、アメリカ、フランス、ドイツ、スウェーデンなどでは

18歳以下では歯列矯正に対して保険が適応されており、
(もしくは、自己負担無料の国も存在)

その意識が表れている結果だと思います。 




 2. 「歯並び」が健康に与える影響


歯並びが悪いと、その審美的な効果以外にも、

出っ歯受け口の他に、噛み合わせの障害や
前歯が締まらないなどの問題が出てくると思います。

そして、それが原因で歯周病虫歯の原因になる場合も
あるようです。



実際に私も、
噛み合わせが深くなりすぎた結果
歯の痛みが出たり、

歯磨きがちゃんと出来てない影響で歯周ポケットが
出来てしまっていたりしたこと、と


歯並びにコンプレックスを持っていたことから、


大学院に入学したのをきっかけに歯列矯正を決意しました。





まとめ


歯列矯正の考え方と、健康に与える影響について
考えてみました。


欧米では、歯並びがエチケットの1つとして
考えられていることからも、

留学で滞在する際には、日本以上に歯並びについて
考慮する必要があるのではないか、と感じます。



自分の実力以外で、自分自身が不当に評価されない
というのはとても悲しいことですので、

歯列矯正から得られる審美的な効果と
将来的な歯周病や虫歯のリスクも全て考えれば、
私はそのメリットは大きいと考え、
歯列矯正を始めています。


もちろん、日本では自由診療 (保険外診療) になります
ので、金銭面でのデメリットは大きいですが、
それでも受ける価値は大きかったと思います。


 

前回記事では、次のロールモデルを考え、
必要な英語の学習方法について考えてみました。



 医師5年目の整形外科医。一度は英語論文を書いてみたいと考えている。また、留学も将来的には視野に入れたい。



これに対して、以下のような戦略を取りました。


 ① 英語論文の執筆: 整形外科分野の英単語知識 + 論文を書くための英語

 
 ② 留学英語資格の取得 → TOEFL や IELTS に向けた英語学習



前回は、① についての具体的な方法を見ていきましたが、
今回は、② についての方法を見ていきたいと思います。




まず、「留学」と一口に言っても様々です。


例えば、



・ USMLEなどの医師国家資格を取った上で、
  海外で医者としてバリバリやっていく、ための留学

・ 日本で 医学博士 (PhD)を取得し、
  その研究の延長 (いわゆるポスドク) として留学する方法

・ 私のように、臨床研究を目的とした留学

・ 公衆衛生学修士 (Master of Public Health; MPH) を
  海外の大学院で取得するための留学



などなど、多くの選択肢があります。


医師5年目の整形外科医 (重ねて書きますが、4年前の僕です) が、
その時点で既にどういった留学を目指すのか、その方針を固めていれば
それに突き進んでいけば良いとは思うんですが、、
僕は当時はそんな事は全く考えておらず、ただ漠然と

「人生で一度は留学してみたいなぁ〜〜」 

みたいな考えしか持ち合わせていませんでした。


ただ、そんな僕でも先輩医師や本などから感じていたことがあって、それは


・ 留学できるかどうかは、様々なの要素が強い

・ そして、その運 (=チャンス) が巡ってきた時に、
  チャンスを掴めるように準備できているかどうか 


これが重要だろう、と思っていました。


「どのタイプの留学が自分に出来るかどうかはまだ決めなくていい。」

「その代わり、準備は万端に、つまり、
  そのための英語学習をしておくんだ!」


こう考えていました。そして、それが

 英語資格を取ること 

だと思います。

つまり、
いざ留学行って来いと言われても、英語が出来ていないと意味がない。

そして、その「英語が出来ていない」とは、

日常英語ではなく、
自分の英語スキルを証明するものがない 

ということになると思います。


自分の英語スキルを証明するものとして、

TOEFL iBT や IELTS

が 必要だと考えたのです。


なお、なぜ僕が IELTS を勉強することになったのかは、
この記事に詳しく書きましたので、是非ご覧頂ければと思います。
 




まとめ

4年前の自分に戻ったつもりで、
医師5年目の整形外科医をモデルにして、
英語学習の戦略について考えてみました。


もし私と同じような境遇の先生方がおられましたら、
是非ご参考にして頂ければ嬉しいです。


お読み頂きありがとうございました。
 

前回記事の続きになります。


前回の記事では、英語の学習には


「目的意識をしっかりもつ」


ことが重要であることを書きました。


漠然と英語の勉強を開始する (例えば、本屋にあるような英会話の本やラジオ英会話の教材などを闇雲に始める) ことは得策ではありません。

始めようと思い立った時や、本を購入した時などはモチベーションが最も高い時ですので、それはいいのですが、そのモチベーションがずっと長続きすることは まず ありえません。

自分の目的に合わせた、焦点を絞った学習が必須です。


そこで、次のロールモデルを考え、必要な英語の学習方法について考えてみたいと思います。



 医師5年目の整形外科医。一度は英語論文を書いてみたいと考えている。また、留学も将来的には視野に入れたい。



前回も書きましたが、これは4年前 (大学院入学前) の私になります。

この時、私は英語の学習を開始するに当たって、以下の事を考えました。



 ① 英語論文の執筆: 整形外科分野の英単語知識 + 論文を書くための英語

 
 ② 留学英語資格の取得 → TOEFL や IELTS に向けた英語学習


これについて、1つずつ考えていきたいと思います。




① 英語論文の執筆


英語論文を書こうと思うと、当然ですがpublishされている英語論文をちゃんと読んで理解できる力が必要です。特に、 論文の最初のパートである introduction では、

「これまでの研究や論文で明らかになっていること」
そして、「未だ明らかになっていないこと」を簡潔にまとめた上で、研究の目的がそれに沿ったものであるかどうかを記載します。

この時点で 、過去の論文をきっちり理解することが当然ながら必要です。


英語論文の文献のまとめ方については、今後別の記事で書こうと思っていますが、今回は、論文を「書く」ことを意識した論文の「読み方」について まとめてみます。



英語論文を書いていてまず思うことは、英語論文は「英借文」である、ということです。

過去の論文から全てを引用してしまうと剽窃 (plagiarism) になってしまいますが、英文の構文や言い回しなどは、非ネイティブの僕たちには理解しづらいものなので、使えるところは利用させてもらおう、という意味です。


また、単語そのものも、当然ながら専門用語が多く飛び交いますので、それらを知っておかないと論文を読めないし、書けません。

そして、当然ながら過去の論文の正確な理解と、それをできるだけ短時間で出来る能力が必要です。


以上から、僕が英語論文の執筆の為に必要な英語学習として立てた戦略は、



 A.  英借文 (Writing)

 B.  専門用語の英単語 (Writing)

 C.  過去の論文の正確 かつ 短時間での読解 (Reading)


になります。



 A.  英借文 (Writing)


まず本文の4つのsection (introduction, materials and method, results, discussion) ごとに分けて、そこで使われている表現をWordファイルや手書きのノートに書き出すようにしました。

例えば、 intdoductionでの表現で、自分の研究の目的を示す構文として、

" In the present study, we aimed to elucidate …(研究内容)."

みたいな形で、 自分が使えそうだと感じる「カッコいい」表現を書き出しました。

以前に紹介した英語論文で参考になる書籍でも例文が多く載っているのですが、それをアレンジする形で加えていきました。



B.  専門用語の英単語 (Writing)


これも同様に、 Wordファイルや手書きのノートに書き出す形式を取りました。

ただ、これで僕が注意していたのは、単なる単語だけではなくて、その定義や分類なども余裕があれば書き出していました。

例えば、脊椎の矢状面バランスの論文には

"Pelvic incidence (PI)" "Sacral slope (SS)" "Pelvic tilt (PT)" "Sagittal vertical axis (SVA)" "Thoracic pelvic angle (TPA)"


などなど多くの専門用語や略語 が飛び交うのですが、その単語の定義がどの論文に載っていて、もし記載するならどの論文から引用してくるといいかどうか

についてもメモしていくようにしました。後々自分が論文を書く時に便利だと考えたからです。



C.  過去の論文の正確 かつ 短時間での読解 (Reading)


これが最も難しいところですね。

僕はまずは短時間で読解できることを目標に、論文を読む練習をしました。


まず、特に時間のない時は、abstract だけを読んで論文の概略を理解し、それが自分の必要とする論文かどうかを判断します。

この時点で5割ぐらいはその論文の理解が出来る印象です。


次に、introductionの最後のパラグラフ, resultsのfigureとtableがついている部分, discussionの各パラグラフの1行目, conclusion を読んで理解できれば (良い論文は)7-8割ぐらいは理解できていることがわかりました。


もちろん論文を書く際には materials and method の部分が重要で、統計の知識ももちろん大事なのですが、まずは理解を追いつかせるということで、この部分をサッと読んで理解できるようにしました。


ちなみに、僕の場合 論文にアンダーラインはあまり引かず、上記の使えそうな文章や単語だけチェックを入れていました。




まずは A, B,Cのこの3つのタスクを行えば,  論文に関する英語力はそこそこ良くなると思います。

実際に 私は卒後5年目の際に、この方法を実践して、論文をだいぶ早く正確に理解できるようになりました。

もし良ければ実践してみて下さい (^^)




②の留学のための英語学習については、次回の記事にまとめます!
 

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